コントロール不良の重症気管支喘息患者を予測する主な因子
英アストラゼネカ社は9月11日、ヒト化抗IL-5受容体αモノクローナル抗体製剤「ベンラリズマブ(遺伝子組換え)」の第3相国際共同試験のSIROCCO試験およびCALIMA試験のサブグループ解析の結果により、ベンラリズマブでの治療効果が最も期待できる、コントロール不良の重症気管支喘息患者を予測する主な因子が同定され、ベンラリズマブの高い有効性が確認されたと発表した。同結果は2017年欧州呼吸器学会(ERS)国際会議において発表され、「The Lancet Respiratory Medicine」オンライン版にも掲載されている。
ベンラリズマブは、好酸球の表面に発現するインターロイキン-5(IL-5)受容体に対し、直接的に作用するヒト化抗IL-5受容体αモノクローナル抗体製剤。喘息では、生物学的エフェクター細胞の好酸球が炎症と気道過敏性を起こし、症状が重症化する患者がいる。ベンラリズマブは、抗体依存性細胞傷害活性(ADCC活性)を高め、IL-5受容体を発現している好酸球を速やか且つほぼ完全に除去する特徴を有する。
今回の解析に含まれた2つの主要試験SIROCCO試験およびCALIMA試験は、増悪傾向のある12歳以上の患者を対象に、ベンラリズマブの標準治療(定量30mgの皮下投与)の有効性および安全性を評価する、無作為化二重盲検対照群間プラセボ対照試験。喘息に関する6つの第3相臨床試験により構成されるWINDWARDプログラムに含まれている。
ベースライン血中好酸球数と喘息増悪頻度の両方が高い患者で高い奏効
事後解析では、投与開始前の血中好酸球数にかかわらずベンラリズマブの有効性が示される中で、過去の増悪頻度および・またはベースライン血中好酸球数が高いほど、より高い治療効果が得られることが示されたという。ベースライン血中好酸球数と喘息増悪頻度の両方が高い患者は、ベンラリズマブによる治療でさらに高い奏効が予測された。さらに、経口ステロイド薬(OCS)での治療を受けている患者や鼻ポリープをもつ患者では、より高い治療効果を示す傾向があったという。
ベンラリズマブは、協和発酵キリンの完全出資子会社であるBioWa社から導入され、アストラゼネカ社のグローバルバイオ医薬品研究開発部門であるメディミューン社と協和発酵キリンが開発。アストラゼネカ社は、2016年10月に協和発酵キリンと締結した独占的オプションを行使し、重症気管支喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬としてのベンラリズマブの日本国内における製造販売権利を取得していた。なお、同剤はどの国・地域においても未承認だが、現在米国、EU、日本およびその他数か国において承認審査中。
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・アストラゼネカ株式会社 プレスリリース