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難治性前立腺がんの診断・治療の新たな標的「PSF」発見-都長寿研

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2017年09月14日 PM01:30

ホルモン療法の効かない悪性の前立腺がん

東京都健康長寿医療センターは9月8日、従来治療が効かなくなった難治性の前立腺がんにおいて、男性ホルモン受容体「V7」をつくるRNA結合タンパク質「」と「」をターゲットとした新たな診断・治療法を提唱すると発表した。この研究は、同センター研究所の井上聡研究部長、高山賢一研究員によるもの。研究成果は、米国科学アカデミー紀要「Proceedings of the National Academy of Sciences of USA()」オンライン版に掲載された。


画像はリリースより

進行した前立腺がんでは、男性ホルモン作用を抑えるホルモン療法が一般的になされているが、治療を継続すると薬剤が効かなくなり、再発、難治化することが問題となっていた。再発においては男性ホルモンシグナルが亢進し、その作用を担うホルモン受容体の異常な増加やV7などの変異が起こることが注目されていたが、その異常発生の仕組みは不明なままだった。

研究グループは、これまでの前立腺がんとホルモンに関する研究の中で、PSFとNONOがその異常の司令塔を担っているのではないかと考え、進行したがんの診断や治療の標的としての可能性を示すとともに、がんにおけるRNAの成熟を制御する仕組みの解明を目的として研究を行ったという。

PSFやNONOが治療後の再発や生存率を予測する診断マーカーに

今回の研究では、手術標本ならびに再発したがん組織のサンプルを利用。その結果、PSFやNONOが治療後の再発や生存率を予測する診断マーカーとなることを発見した。また、動物モデルにおいては、PSFを抑制することでホルモン療法の効かない難治性の前立腺がんに対して治療効果を示すことを明らかにした。さらに、細胞内でのPSFの役割を深く解析した結果、PSFが司令塔役となり、RNAの成熟に重要なタンパク質群を制御することで異常なホルモン受容体のタンパク質産生やV7などの悪玉変異体の出現に至ることを解明したという。

PSFはRNAと結合し、RNAの成熟をコントロールする要として効果を発揮するため、その結合を阻害することでホルモン受容体の異常を抑えることが予想される。同研究グループによって、その機能を阻害する創薬候補の開発も進められている。これは、従来にない方面からの治療薬へのアプローチであり、前立腺がん治療のブレイクスルーとなる可能性が考えられる、と研究グループは述べている。

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