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米国で2020年度売上、800億円目指す-田辺三菱・三津家社長が会見

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2017年09月08日 PM12:00

今後は自己免疫性疾患と神経変性疾患に注力

田辺三菱製薬株式会社は8月29日、同社の「中期経営計画16-20」の進捗状況に関して会見を行った。三津家正之社長は、本格展開を目指す米国事業に関して、8月に筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬のラジカヴァの発売を報告するとともに、7月に神経疾患に強みを持つニューロダーム社を買収したことを説明。ラジカヴァ上市を第1ステップ、ニューロダーム社買収を第2ステップとし、今後は自己免疫性疾患と神経変性疾患に関する自社品の投入の第3ステップを着実に実現することで、計画に掲げた米国事業での2020年度売上目標800億円を達成していく意向を強調した。中期経営計画では、長期収載品について、2020年度の売上高に占める割合を25%(2016年実績38%)と定めており、3月にはジェネリック品とともに一部の長期収載品をニプロに譲渡したが、今後は長期収載品の切り離しはせずにこの割合を達成する考えを明らかにした。

ALS治療薬ラジカヴァは、2015年6月に日本でALSの効能追加承認取得時に評価された臨床試験結果に基づき承認を取得。FDAからの要請で日本国内での全ての安全性データをデータベース化することが求められ、「1年間の開発要員数投入としては自社で過去最大のプロジェクト」(三津家社長)となった。ラジカヴァについてはミツビシ・タナベ・ファーマ・アメリカの約50人のセールスチームで全米をカバーする計画。また発売前からwebを通じた患者情報提供支援のサーチライトプログラムを通じて(1)保険償還(2)看護師サポート(3)投与施設紹介などの情報提供を行っていると説明した。

レボドバを24時間持続的に皮下注射できるND0612を開発中

イスラエルに本社を置くニューロダーム社は、パーキンソン病の主たる治療薬であるレボドバの液剤化に成功した企業で、レボドバを携帯ポンプで24時間持続的に皮下注射できるND0612を開発中。ND0612は同社が開発方針として掲げる、既存化合物での製剤技術やデバイスの工夫により患者ニーズを改善する「デザインド・ファーマシューティカルズ」に合致していると強調し、2019年度の米国での上市を目指していることを明らかにした。

同社は、2016年にノバルティス社の長期収載品14品目を譲受したサン・ファーマ(インド)の日本法人からその販売を委託されているが、石﨑芳昭・取締役常務執行役営業本部長は「サン・ファーマが日本国内での流通網を整備する間の委託」としてあくまで時限的な対応であることを強調した。また、中計16-20で掲げる2020年度までの総額200億円のコスト削減(対2015年度比)については、うち90億円が人件費関連。すでに同社は2015年末に募集した早期退職者634人が2016年3月末で退職。田原永三・取締役常務執行役広報担当は「これで70億円分は削減できた」と述べ、残る20億円分の人件費削減は自然減で達成可能との見通しを示した。

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