α4β7インテグリンとMAdCAM-1との相互作用を阻害
武田薬品工業株式会社は8月22日、ベドリズマブ(開発コード:MLN0002)について、中等症から重症の活動期の潰瘍性大腸炎(UC)に対する治療薬として、厚生労働省に製造販売の承認申請を行ったと発表した。
ベドリズマブは、炎症を起こしている腸管組織に炎症性細胞の一種であるTリンパ球の遊走を阻害することで、炎症を軽減するようデザインされている。細胞接着分子MAdCAM-1は腸管の血管内皮に選択的に発現しており、一方α4β7インテグリンは循環血液中のある種の白血球サブセットに発現している。同剤は、α4β7インテグリンに特異的に結合し、α4β7インテグリンとMAdCAM-1との相互作用を阻害することで、炎症を起こした腸管組織へのTリンパ球の遊走を抑制し、炎症を軽減する。
同剤は、標準療法または抗TNFα抗体による治療に対し効果不十分、効果減弱がみられた、もしくは不耐性である中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎およびクローン病に対する治療薬として、2014年5月に欧州および米国にて承認を取得。現在は60か国以上で承認を取得しており、11万3,000人年以上の患者に使用されている。
CCT-101試験とGEMINI I試験の試験結果に基づき申請
今回の申請は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎患者292名を対象に、導入療法および維持療法における同剤の有効性、安全性および薬物動態を検討した国内臨床第3相試験「CCT-101試験」の結果に基づくもの。同試験の結果は、今後学会等での公表を予定しているという。また、中等症から重症の潰瘍性大腸炎患者895名を対象に、導入療法および維持療法における同剤の有効性、安全性を評価した海外臨床第3相試験「GEMINI I試験」の結果にも基づいている。
潰瘍性大腸炎は若年成人での罹患率が高い、慢性かつ進行性の炎症性腸疾患(IBD)。下痢や直腸出血、便失禁、腹痛などの症状を伴う。今回の申請について、武田薬品工業日本開発センター所長の部谷敏郎氏は、「近年増え続けている日本の潰瘍性大腸炎患者さんに、新たな治療オプションをお届けするための第一歩を踏み出せたことを誇りに思います」と述べている。
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・武田薬品工業株式会社 ニュースリリース