急性骨髄性白血病治療薬として開発を進めるFLT3/AXL阻害剤
アステラス製薬株式会社は8月22日、急性骨髄性白血病(AML:acute myeloid leukemia)治療薬として開発を進めているFLT3/AXL阻害剤「ギルテリチニブ」(開発コード:ASP2215)について、造血幹細胞移植(HCT:hematopoietic stem cell transplant)後の維持療法におけるFLT3遺伝子内縦列重複(ITD:Internal Tandem Duplication)変異陽性(FLT3/ITD+)AML患者対象の国際共同第3相試験「MORPHO試験」の最初の患者への投薬が開始されたと発表した。
ギルテリチニブは、がん細胞の増殖に関与する受容体型チロシンキナーゼのFLT3およびAXLを阻害する。AML患者の約1/3で認められるFLT3の2つの遺伝子変異であるITD変異とチロシンキナーゼドメイン変異(TKD:Tyrosin Kinase Domein)の両方を阻害する。同剤は、アステラス製薬と寿製薬株式会社の共同研究により見出され、アステラス製薬が全世界での開発、製造、並びに商業化に関する独占的な権利を有している。
2群間比較無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同試験
MORPHO試験は、AML患者の対象の2群間比較無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同試験。FLT3/ITD変異を有するAML患者346名が登録される。同試験への参加には、移植前に1回目の完全寛解(CR1)の状態であることが条件とされている。完全寛解の状態は、骨髄(BM)中の芽球が5%未満、BMに急性白血病の形態学的特徴がなく、骨髄外白血病のエビデンスがないものとして定義される。CR1の状態のFLT3/ITD+AMLの被験者は、HCTを受けた後、ギルテリチニブ投与群またはプラセボ投与群に無作為に割り付けられる。投与は、移植された造血幹細胞の生着後から開始し、2年間継続。主要評価項目は無再発生存期間(RFS)。
なお、同社は遺伝子変異および耐性突然変異を有する難治性の血液がん患者を対象に、ギルテリチニブの有効性を検証するための4つの第3相試験を進めている。
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・アステラス製薬株式会社 ニュースリリース