第二期プロジェクトは肺がん・消化器がんを対象に
国立がん研究センターは8月8日、肺がん・消化器がんを対象とした産学連携がんゲノムスクリーニングプロジェクト「SCRUM-Japan」の第二期プロジェクトを4月より開始したと発表した。
2015年2月に開始したSCRUM-Japan。第一期プロジェクトでは、製薬企業15社、国内245医療機関との共同研究により、2017年3月に登録(速報値:4,800例)を完了。前身のプロジェクト(肺がん:LC-SCRUM-Japan 2013年開始、大腸がん:GI-SCREEN-Japan 2014年開始)とあわせ、すでに150例以上の患者が、遺伝子解析結果に基づいて、分子標的治療薬の医師主導治験や企業治験に参加している。さらに、複数の分子標的治療薬の臨床応用に貢献しており、中でもROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんの遺伝子診断薬および治療薬の国内製造販売承認では大きな成果をあげたという。
国内の新薬開発体制をさらに強力にサポートする予定
第二期プロジェクトでは、製薬企業16社との新たな共同研究により、肺がん2,500例、消化器がん3,000例、計5,500例の登録を見込んでいる。
また、治験への登録を明確化した研究計画書、説明同意文書の作成、治験の対象となる進行がんや未治療例の登録の推進、治療開始直前のサンプル収集の推進、新しい遺伝子解析システムの導入による対象遺伝子の増加と検査期間の短縮、臨床ゲノムデータベースを利用した疾患レジストリの作成などにより、製薬企業とデータ共有を行いながら、国内の新薬開発体制をさらに強力にサポートする予定だという。また、LC-SCRUM-IBISをはじめとした複数の個別研究がすでに始まっており、SCRUM-Japanは第一期にひき続き有効な治療薬を患者に届けることを目標として活動を続けるとしている。
なお、実施予定期間は、2017年4月~2019年3月31日。参加企業は、アステラス製薬株式会社、アストラゼネカ株式会社、エーザイ株式会社、MSD株式会社、小野薬品工業株式会社、協和発酵キリン株式会社、第一三共株式会社、大鵬薬品工業株式会社、武田薬品工業株式会社、中外製薬株式会社、日本イーライリリー株式会社、日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社、ノバルティス ファーマ株式会社、ファイザー株式会社、ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社、メルクセローノ株式会社。参加医療機関は、LC-SCRUM-Japan:273施設、GI-SCREEN-Japan:20施設となっている。
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・国立がん研究センター プレスリリース