アザシチジン、有効でも長期間の使用で耐性
東京医科大学は7月25日、関節リウマチ等の既存治療薬「テリフルノミド」が、骨随異形成症候群の治療で用いられる「アザシチジン」の薬剤耐性を解除、克服する可能性があることを見出したと発表した。この研究は、同大学医学総合研究所の大屋敷純子教授らを中心とする研究チームによるもの。研究成果は、米科学誌「Oncotarget」電子版に掲載された。
画像はリリースより
骨髄異形成症候群は、高齢者に多い血液がん。貧血・出血傾向等の症状を示し、高齢化に伴い近年増加している疾患のひとつ。約30%の患者が急性骨髄性白血病へ進展する。現在、症状や予後を改善するために、抗がん剤のアザシチジンが使用されている。しかし、骨髄異形成症候群の患者の約半数は同剤が無効で、有効でも長期間の使用で効果が期待できなくなる患者がみられることが問題となっている。
関節リウマチ・多発性硬化症の治療薬「テリフルノミド」
今回、研究チームは、関節リウマチや多発性硬化症治療に用いられるテリフルノミドを併用することで、耐性を示していたアザシチジンの代謝を促し、耐性を解除することを見出した。抗がん剤への耐性について、ドラッグリポジショニング手法を用いることで解除と予防方法を見出したのは世界で初めてだという。
今回の実験で使用したテリフルノミドの濃度は、関節リウマチや多発性硬化症の患者の血中濃度の薬1/10という低濃度で、臨床でも安全に投与できるとという。テリフルノミドとアザシチジンの併用は、骨髓異形成症候群の新たな治療戦略になると期待されると、研究グループは述べている。
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・東京医科大学 プレスリリース