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細菌感染症の診断に応用可能なゲノム解析システムを開発-東海大

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2017年07月24日 PM02:00

細菌感染症試料に対する細菌種の同定を2時間以内に

東海大学は7月20日、ポータブル型のDNAシーケンサ「」に応用可能なゲノム解析システムを開発し、細菌感染症試料に対する細菌の同定を2時間以内で行うことが可能なことを示したと発表した。この研究は、同大学医学部基礎医学系の今西規教授らの研究グループによるもの。研究成果は、オンラインジャーナル「Scientific Reports」に掲載された。


画像はリリースより

医療機関での細菌感染症の診断は、細菌培養法によって行われている。しかし、培養法による細菌種の判定には1~2日を要し、難培養性細菌の存在や培養条件の不適合などの要因が、菌種同定を難しくしている。そのため、細菌感染症が疑われる患者には原因菌の特定を待たずに経験的に選択された抗菌薬を投与する場合が多く、有効な薬剤投与の遅れや薬剤耐性菌出現の促進をもたらしていると考えられる。

ポータブル型DNAシーケンサとラップトップ型PC2台で構成

研究グループは、ナノポア技術を使ったOxford Nanopore Technology社製のポータブル型DNAシーケンサ「MinION」とラップトップ型PC2台で構成されるゲノム解析システムを作成。2台のPCには異なる役割を与え、1台目のPCはMinIONの制御とその出力データを2台目のPCへ連続的にコピーする作業を実行、2台目のPCはDNA配列の詳細な解析を実行するという。

このシステムを用いて、複数の細菌の混合DNAに対して、どの程度正確に、どの程度の時間で細菌の同定と組成の解析が可能か調べた結果、DNA試料が準備された状態から始めて2時間以内に、DNA配列の読み取りと、そこに含まれる主な細菌の同定を行えることが判明。また、実際に膿胸患者から得た胸水の検体を同システムで解析したところ、原因と考えられる嫌気性菌を迅速に検出することができたという。その一方で、細菌の組成は独自に開発したゲノムデータベース「GenomeSync」と一般的な相同性探索手法である「BLAST」を用いた方法によって高精度に推定できることが示唆されたが、計算時間が大幅にかかるため、改良の余地があることも課題として認識したとしている。

これまでにも特定の細菌を検出するシステムはあったが、今回開発された同システムと従来のシステムとの大きな違いは、ゲノム配列データベースに登録されている8万以上の細菌種・系統を特定できる点。さらに、MinIONとラップトップ型PC2台だけで、どこでも解析が可能であるため、大規模災害の現場など十分な検査設備のない地域や、感染症の多い熱帯地域での活躍にも期待が持たれる、と研究グループは述べている。

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