腎生検でしか評価ができない糖尿病性腎症の組織繊維化
大阪大学は7月18日、ラット糖尿病性腎症モデルラットを用いて、MRIで腎臓繊維化の画像化に成功したと発表した。この研究は、同大大学院医学系研究科先端移植基盤医療学の貝森淳哉寄附講座准教授、腎臓内科の猪阪善隆教授、先端移植基盤医療学の高原史郎寄附講座教授らの研究グループによるもの。研究成果は「Scientific Reports」に掲載されている。
画像はリリースより
慢性腎臓病の病気の進行は、腎臓の組織繊維化と密接な関係があることが知られている。これまで、糖尿病性腎症では、組織繊維化は腎生検でしか評価ができず、MRIやエコーなどの画像検査では評価が困難だった。近年、拡散MRIが腎臓の繊維化を評価できる可能性が示唆されてきたが、糖尿病性腎症については組織の浮腫が画像に影響を与えるため、拡散MRIでも評価不可能と考えられており、浮腫の影響を受けずに繊維化を評価する画像診断が求められていた。
DTI-MRIとスピンエコー法を組み合わせた撮影方法を開発
研究グループでは、拡散MRIを多方向から撮影して画像化したDTI-MRIと、より感度の高い撮影方法であるスピンエコー法を組み合わせた撮影方法を開発。ラット糖尿病モデルの腎臓を撮影し、腎臓の繊維化を画像化することに成功したという。従来の方法では、約3時間の長時間のMRI撮影が必要になり、その間腎臓を静止させておく必要があったが、研究グループは長時間腎臓の血流、温度を変化させることなく、静止可能な特殊な器具を開発することで、腎臓を静止させて撮影することを可能にしたとしている。
今回の研究成果により、今後、生体で腎臓を固定する方法や、さらに感度の良い撮影方法に改良することで、糖尿病による腎障害の進行の程度を非侵襲的に、正確に評価する手法の実用化が期待されると研究グループは述べている。
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