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骨粗鬆症治療薬クロドロン酸、神経因性疼痛・炎症性疼痛・慢性炎症を改善-岡山大ら

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2017年07月21日 PM02:00

副作用が少ない第一世代ビスホスホネート製剤

岡山大学は7月18日、骨粗鬆症治療薬クロドロン酸によって小胞型ヌクレオチドトランスポーター(VNUT)を阻害することで神経因性疼痛や炎症性疼痛、慢性炎症を改善できることを世界で初めて明らかにしたと発表した。この研究は、同大自然生命科学研究支援センターの加藤百合特任助教ら、松本歯科大学、久留米大学、東北大学、九州大学、東京農業大学、味の素株式会社の共同研究グループによるもの。研究成果は「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」電子版に掲載されている。


画像はリリースより

骨粗鬆症治療薬のひとつであるビスホスホネート製剤は世界中で利用されており、骨疾患の罹患者に対して、複数の鎮痛効果があることが臨床報告されている。同剤は、第一~第三世代まで開発されており、第一世代は骨粗鬆症治療効果が弱いため、副作用も少ない。一方、第二、三世代は骨粗鬆症治療効果が強いため、副作用が問題になることがあった。東北大学の研究グループによる先行研究の結果も、副作用の少ない第一世代の同剤に鎮痛効果があることを示していたが、その作用メカニズムは明らかになっていなかった。

鎮痛効果は神経因性疼痛第一選択薬「」よりも有効

今回、研究グループは、疼痛を引き起こす神経伝達を遮断するために、神経伝達の起点となる伝達物質の分泌機構に着目。第一世代のビスホスホネート製剤が、この分泌に必須である小胞型神経伝達物質トランスポーターを阻害するかを検証した。その結果、第一世代のビスホスホネート製剤であるクロドロン酸が、VNUTを選択的かつ可逆的に極めて低濃度で阻害し、神経細胞からのアデノシン三リン酸(ATP)放出を遮断していることを発見。また、この鎮痛効果は、鎮痛薬として臨床利用される他の医薬品より有意に大きいことも判明した。とくに、神経因性疼痛の第一選択薬であるプレガバリンよりも有効で、プレガバリンの副作用である眠気等はクロドロン酸投与群では観察されなかったという。

また、クロドロン酸は免疫細胞からのATP分泌を遮断することで、炎症性疾患の原因となる炎症性サイトカイン量を低減し、抗炎症効果を発揮することも発見。抗炎症薬の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID、商品名:)よりも強力であり、一般的なステロイド製剤(商品名:)と同等の抗炎症効果を示したという。

クロドロン酸は、欧米で骨粗鬆症治療薬として承認されているため、ヒトに対する安全性は実証されている。今後、初めてのトランスポーター標的型の鎮痛薬・抗炎症薬になると期待される、と研究グループは述べている。(大場真代)

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