約3710万個の一塩基変異を収載
東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)と岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構(IMM)は7月18日、3,554人の全ゲノムリファレンスパネル(3.5KJPN)を作成し、約3710万個の一塩基変異(SNVs)を収載することに成功したと発表した。
画像はリリースより
今回、ToMMoとIMMは、東北メディカル・メガバンク計画が宮城県と岩手県で実施するコホート調査への協力者3,344人、国立病院機構長崎医療センターの協力者181人、ながはま0次予防コホート事業への協力者29人、計3,554人分の全ゲノム塩基配列を解析し、精度検証を進めた。
日本全国の地域集団の特徴を更に幅広く反映
今回作成した3.5KJPNに収載されているSNVsの72%以上にあたる約2690万個は、世界各地のSNVsを登録する国際データベースには存在しない新規のSNVsだった。民族集団などが保有するSNVsの多くは、集団ごとに特徴的なことが知られていることから、3.5KJPNには日本人に特徴的なSNVsが多数収載されていることがわかったという。
また、3.5KJPNの約32%は、宮城県と岩手県以外の検体から構成されており、詳細に検討すると、日本列島内の地域集団の微細な違いは確認されるものの、他のアジア集団のゲノム情報とは、大きく、かつ明確に異なる日本列島出身者としてのまとまりが検出された。このことから、これまでToMMoが開発してきたリファレンスパネル(1KJPN、2KJPN)が日本人の特徴を反映していることが実証され、合わせて3.5KJPNは日本全国の地域集団の特徴を更に幅広く反映していることも明らかになったという。
ToMMoとIMMは、3.5KJPNに含まれるすべてのSNVsの位置情報、アレル頻度情報、アレル数情報を近日中に公開する予定。これらの情報により、日本医療研究開発機構(AMED)が実施している未診断疾患イニシアチブ(IRUD)事業の疾患候補遺伝子の絞り込み性能のさらなる向上が見込まれる。また、疾患への罹患リスク推定などの目的で利用される、マイクロアレイ解析での全ゲノム復元性能を向上させることも可能になるという。
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