1週間皮膚に貼り続けても炎症反応なし
科学技術振興機構(JST)は7月18日、1週間皮膚に貼り続けても明らかな炎症反応を認めず、装着感のない、軽量で極薄のナノメッシュ電極の開発に成功したと発表した。この研究は、JSTの戦略的創造研究推進事業で、東京大学と理化学研究所、慶應義塾大学らが共同で行ったもの。研究成果は、英科学誌「Nature Nanotechnology」オンライン速報版にて公開された。
画像はリリースより
近年、次世代のウェアラブル電子機器として、皮膚に密着することでより高精度な生体信号を計測できる電子機器が、軽量で伸縮性の高い薄膜フィルムやゴムシートを用いて盛んに開発されてきた。これまでに研究グループは、皮膚に貼り付けることができる血中酸素濃度計やタッチセンサーアレイなどを開発していた。しかし、薄いフィルムやゴムシート型のデバイスは、ガス透過性が低いため汗などの分泌を阻害してしまうため、皮膚科学的な見地から長期間使用できる安全性について証明されていないという課題があった。
屈曲を1万回繰り返しても導電性失わず
今回、研究グループは、生体適合性に優れた金と高分子(ポリビニルアルコール)からなるナノサイズのメッシュ型電極を開発。このナノメッシュ電極は、軽量で高い伸縮性を有し、高いガス透過性をもつため本来の皮膚呼吸が可能。これにより1週間皮膚に貼り続けても炎症反応を起こさないという。さらに人差し指の第2関節にナノメッシュ電極を貼り付け、指の屈曲を1万回繰り返しても導電性を失うことはなく、皮膚とともに伸縮しても高い導電性を示したとしている。
今回の研究成果により、医療・介護現場で患者に負担なく生体情報を計測することやスポーツ選手の運動に影響を与えずに自然な運動を行う中で、モーションや生体情報を正確に計測し解析できるようになる、と研究グループは述べている。
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・科学技術振興機構(JST) プレスリリース