医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > テクノロジー > 皮膚呼吸が可能な皮膚貼り付け型のナノメッシュセンサー電極を開発-JSTら

皮膚呼吸が可能な皮膚貼り付け型のナノメッシュセンサー電極を開発-JSTら

読了時間:約 1分11秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2017年07月20日 PM01:45

1週間皮膚に貼り続けても炎症反応なし

科学技術振興機構()は7月18日、1週間皮膚に貼り続けても明らかな炎症反応を認めず、装着感のない、軽量で極薄のナノメッシュ電極の開発に成功したと発表した。この研究は、JSTの戦略的創造研究推進事業で、東京大学と理化学研究所、慶應義塾大学らが共同で行ったもの。研究成果は、英科学誌「Nature Nanotechnology」オンライン速報版にて公開された。


画像はリリースより

近年、次世代のウェアラブル電子機器として、皮膚に密着することでより高精度な生体信号を計測できる電子機器が、軽量で伸縮性の高い薄膜フィルムやゴムシートを用いて盛んに開発されてきた。これまでに研究グループは、皮膚に貼り付けることができる血中酸素濃度計やタッチセンサーアレイなどを開発していた。しかし、薄いフィルムやゴムシート型のデバイスは、ガス透過性が低いため汗などの分泌を阻害してしまうため、皮膚科学的な見地から長期間使用できる安全性について証明されていないという課題があった。

屈曲を1万回繰り返しても導電性失わず

今回、研究グループは、生体適合性に優れた金と高分子(ポリビニルアルコール)からなるナノサイズのメッシュ型電極を開発。このナノメッシュ電極は、軽量で高い伸縮性を有し、高いガス透過性をもつため本来の皮膚呼吸が可能。これにより1週間皮膚に貼り続けても炎症反応を起こさないという。さらに人差し指の第2関節にナノメッシュ電極を貼り付け、指の屈曲を1万回繰り返しても導電性を失うことはなく、皮膚とともに伸縮しても高い導電性を示したとしている。

今回の研究成果により、医療・介護現場で患者に負担なく生体情報を計測することやスポーツ選手の運動に影響を与えずに自然な運動を行う中で、モーションや生体情報を正確に計測し解析できるようになる、と研究グループは述べている。(遠藤るりこ)

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 テクノロジー

  • モバイル筋肉専用超音波測定装置を開発、CTのように広範囲描出可能-長寿研ほか
  • ヒトがアンドロイドの「心」を読み取り、動きにつられることを発見-理研
  • 生活習慣病の遺伝的リスクと予防効果の関係、PRS×AIで評価-京大ほか
  • 精神的フレイル予防・回復支援「脳トレシステム」開発-愛知産業大ほか
  • ChatGPTと放射線科医、骨軟部放射線領域の診断精度を比較-大阪公立大ほか