AMEDの橋渡し研究戦略的推進プログラム
広島大学は7月10日、日本医療研究開発機構(AMED)による、平成29年度「革新的医療技術創出拠点プロジェクト」(北海道大学拠点)関連シーズ「橋渡し研究戦略的推進プログラム」に、同大大学院医歯薬保健学研究科 田原栄俊教授が研究開発代表者を務める「がん幹細胞および抗癌剤耐性がん細胞に作用する革新的抗腫瘍核酸医薬品の開発」が採択されたことを発表した。
抗がん剤の課題は、抗がん剤治療に対する効果がないといわれる「がん幹細胞」と抗がん剤治療後に出現する「抗がん剤耐性がん細胞」に対する有効な治療薬がないことだ。今回採択された研究では、田原教授らが研究開発を行っているマイクロRNAを用いて、がん幹細胞と抗がん剤耐性がん細胞の両方に効果を示す抗腫瘍核酸医薬の開発を行うという。
顕著な抗腫瘍活性を持つマイクロRNA
このマイクロRNAは、細胞老化に関わるマイクロRNAの中から、顕著な抗腫瘍活性を持つものとして選定された、これまでにない腫瘍活性を示す核酸。研究のシーズBは、非臨床POC取得を目指した非臨床データの取得が目的であり、同研究では、このマイクロRNA核酸と、株式会社スリー・ディー・マトリックスの開発した界面活性剤ペプチドを組み合わせた抗腫瘍核酸医薬を用い、悪性胸膜中皮腫を対象疾患とし非臨床POC取得を目指した実用化を目指すという。
また、今回の研究目的が達成された場合、ヒトの臨床治験の実施が計画されている。治療が困難で再発率も高い悪性胸膜中皮腫の治療に大きな期待が持てるとし、抗がん剤耐性がん細胞にも効果を示すことから、再発時のがん治療薬としても期待されると、研究グループは述べている。広島大学とスリー・ディー・マトリックスは、共同特許出願を現在準備中。AMEDプログラム終了後は、ヒトへの臨床治験実施に向けて、スリー・ディー・マトリックスと協議の上で実用化をめざすとしている。
▼関連リンク
・広島大学 お知らせ