第3相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果から
米イーライリリーは6月16日、第3相「SPIRIT-P1試験」において、「トルツ(R)」(一般名:イキセキズマブ)を投与した関節症性乾癬(PsA)患者の大半が、52週の投与期間中X線画像上での関節の構造的損傷において無進行またはわずかな進行のいずれかを示したと発表した。この試験結果は、スペインで開催された欧州リウマチ学会(EULAR)2017の年次大会において口頭発表された。
トルツは、インターロイキン17A(IL-17A)に特異的に結合し、IL-17受容体との相互作用を阻止するモノクローナル抗体。IL-17Aは自然発生するサイトカインで、通常の炎症性及び免疫反応に関与する。トルツは、炎症性サイトカインおよびケモカインの活性を抑制する。
SPIRIT-P1試験は、生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(bDMAR)による治療歴のない患者に対し、トルツの効果をプラセボと比較検討した第3相無作為化二重盲検プラセボ対照試験。関節症性乾癬の確定診断から少なくとも6か月経過していることを対象患者の条件とした。試験には、圧痛関節数および腫脹関節数がそれぞれ3つ以上あり、スクリーニング時にX線画像上でわかるような原疾患に関連した手または足の関節びらんが少なくとも1つある、またはC反応性タンパク(CRP)が6mg/L以上である活動性PsA患者417名(全治療群に1:1:1:1の割合で層別)を登録した。
日本では既存治療で効果不十分なPsAで承認済み
トルツ2週間隔、または4週間隔投与群のどちらの投与群でも、52週時点でのPsAに関するmodifiedTotal Sharp Score(van der Heijde法)のベースラインからの変化量で、関節の構造的損傷を測定したところ、X線画像上での無進行またはわずかな進行しか認められなかったという。また、24週間の治療期間終了後に、プラセボまたはアダリムマブからトルツ2週間隔または4週間隔投与群のいずれの投与群に切り替えた患者においても、関節の構造的損傷は無進行またはわずかな進行しか認められなかったとしている。
SPIRIT-P1試験の継続投与期間中、トルツ投与群の治療下で発生した有害事象の発現率は、プラセボ投与群より高かった。トルツによる治療を受けた患者全体で最もよくみられた(4%以上)有害事象は、鼻咽頭炎および注射部位反応。これらの事象は、中等症から重症の尋常性乾癬の治療に対するトルツの第3相臨床試験(UNCOVER-1,-2,-3)で報告された内容と一致しているという。
同社は、米国食品医薬品局(FDA)に対し、活動性PsAを有する成人患者の治療薬としてのトルツの生物学的製剤追加承認申請(sBLA)を行っている。なお、日本では既存治療で効果不十分な関節症性乾癬に対して既に承認されており、2017年中には世界各国の規制当局にも申請する予定だという。
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・日本イーライリリー株式会社 プレスリリース