以前から、「オンナは土壇場に強い」とはいわれてきましたが、科学的に女性の方がストレス耐性があることが証明されました。
この調査では、男女の違いが、ストレス反応にもたらす影響を分子レベルで分析しました。
ラットをストレスにさらすと、メスの方がストレス耐性があることが分かりました。これは、女性ホルモンのエストロゲンが、ストレスから身を守るように働いていることが原因です。
障害物の位置などを覚えたラットに対して、身体の動きを1週間制限すると、オスでは障害物の位置を忘れてしまうという短期記憶に関する影響が出ましたが、メスは障害物の位置を忘れることがありませんでした。
ストレスを受けると、短期記憶を司る脳の前頭前野のグルタミン酸受容体にダメージが及ぶとされていますが、メスのラットではストレス下でもこの部分が無傷だったことになります。そして、卵巣で作られるエストロゲンの量を操作して、少なくすると雌のラットでもオスと同じように、短期記憶の能力が下がると報告されました。
この調査では、様々な可能性が見いだされました。例えば、卵巣を摘出した女性のストレス耐性を保つ目的で、エストロゲンを投与することが出来るかもしれませんし、エストロゲンのような脳の保護作用のある物質が分かれば、男性のストレス耐性を高めるために使うこともできます。
今回の調査結果はストレスの多い現代において、価値の高い報告であると評価されています。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Estrogen protects against the detrimental effects of repeated stress on glutamatergic transmission and cognition
http://www.nature.com/mp/journal/vaop/