骨代謝のアンバランスで骨粗鬆症に
近畿大学と井村屋は共同研究で小豆煮汁中の成分に骨粗鬆症を予防、改善する効果があることを発見した。
新しい骨を作る骨芽細胞の骨形成と古い骨を壊す破骨細胞の骨吸収のバランスが骨格を形成、維持している。加齢、栄養のアンバランス、運動障害やホルモン分泌の異常で骨吸収が骨形成を上回ると、骨量が減少し骨粗鬆症を発症する。
骨粗鬆症の患者は推定1300万人、日本でも年々患者数が増加している。転倒による高齢者の骨折も増えて、大腿骨骨折で自力歩行が不可能になるケースもある。
ポリフェノール成分が豊富な小豆抽出液
小豆加工品を製造する井村屋は大量に発生する小豆煮汁に注目して近畿大学との研究を進めてきた。
今回、小豆煮汁から調製したポリフェノール成分が豊かな抽出液をマウスの骨芽細胞に添加した。その結果、アルカリフォスファターゼの活性が増強、つまり骨芽細胞の分化が活性化した。破骨細胞は骨髄由来の単球系細胞が分化、融合して骨を破壊するが、それを測定する酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼの活性は減少した。すなわち破骨細胞の分化が抑制された。以上から小豆煮汁は骨を作る働きを強め、同時に骨を壊す働きを弱める性質を持つことがわかった。
老化による骨形成の抑制、閉経による骨吸収の活性化で骨粗鬆症が誘発されると近年の研究で明らかになっている。骨芽細胞と破骨細胞の分化を調節すれば骨粗鬆症の予防・改善につながると考えられる。
小豆煮汁が骨芽細胞と破骨細胞の分化を調節することから、骨粗鬆症患者の割合が高い高齢者にとって小豆食品の摂取が予防になる可能性がある。同社は小豆煮汁の機能性を付与した食品開発を進めていく。(馬野鈴草)
▼外部リンク
近畿大学プレスリリース
http://www.kindai.ac.jp/