シスプラチン併用化学療法が適さない患者の初回治療として
米Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.は5月18日、抗PD-1抗体「キイトルーダ(R)」(一般名:ペムブロリズマブ)について、局所進行性または転移性の尿路上皮がんの対象患者に対する2件の承認を米国食品医薬品局(FDA)から新たに取得したことを発表した。
この承認により、初回治療では、標準治療のシスプラチン併用化学療法が適さない局所進行性または転移性の尿路上皮がん患者に対して使用可能となった。FDAの迅速承認制度のもとで審査が行われ、奏効率(ORR)・奏効期間のデータを基に承認されたという。同適応の承認継続は、検証試験での臨床上の効果確認が条件となる。
また、二次治療では、初回治療のプラチナ製剤併用化学療法に対して疾患進行が認められた患者、またはプラチナ製剤併用の術前または術後化学療法から12か月以内に疾患進行が認められた局所進行性または転移性の尿路上皮がんの治療として承認された。
「KEYNOTE-052」と「KEYNOTE-045」の結果に基づく承認
初回治療は、多施設共同非盲検単一群試験「KEYNOTE-052」のデータをもとに承認された。同試験は、シスプラチンによる化学療法が適さない局所進行性または転移性の尿路上皮がん患者370名を対象として、キイトルーダを評価したもの。有効性の解析では、ORRは29%(95% CI: 24-34)で、完全奏効は7%、部分奏効は22%。奏効期間の中央値は未到達だった(範囲:1.4+~17.8+か月)。フォローアップ期間の中央値は7.8か月だったという。
二次治療は、多施設共同無作為化比較対照試験「KEYNOTE-045」のデータをもとに承認された。これは、プラチナ製剤による化学療法の治療中または治療後に疾患が進行した局所進行性または転移性の尿路上皮がん患者を対象として、キイトルーダを評価したもの。試験の結果、死亡例がキイトルーダ群では155例に対して化学療法群では179例と、化学療法と比較して死亡のリスクが27%減少(HR, 0.73 [95% CI: 0.59-0.91], p=0.004)した。
また、PFSに関しては、統計学的に有意な差異は認められなかった(HR, 0.98 [95% CI: 0.81-1.19], p=0.833)。ORRのエンドポイント解析では、キイトルーダ群で21%(95% CI: 16-27、完全奏効7%、部分奏効14%)、化学療法群で11%(95% CI: 8-16、完全奏効3%、部分奏効8%)(p=0.002)と、統計学的に有意な改善が認められたとしている。
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・MSD株式会社 ニュースリリース