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ブレクスピプラゾール、アルツハイマー病の行動障害が対象のP3試験速報発表-大塚製薬

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2017年05月09日 PM12:15

アルツハイマー型認知症患者の約50%が起こす行動障害

大塚製薬株式会社は5月2日、デンマーク・H.ルンドベックA/S社と共同で「」(一般名)のアルツハイマー型認知症に伴う行動障害()を対象とした2本のフェーズ3試験の速報結果を発表した。両試験ともに行動障害症状の改善を示したが一貫した結果は得られなかったという。

ブレクスピプラゾールは、大塚製薬が創製した独自の作用機序を有する新規化合物で、ルンドベック社とグローバル共同開発・共同販売を行っている。同剤は、2015年7月に米国で成人の大うつ病の補助療法と統合失調症の2つの適応症で承認され、製品名「REXULTI()」として両社で共同販売を実施。日本では、統合失調症の適応で2017年1月に製造販売承認を申請済み、欧州でも統合失調症の適応で3月に製造販売承認申請を行った。

アルツハイマー型認知症患者の約50%は、介護者に対する暴言、暴力、錯乱などの行動障害を起こすといわれる。行動障害を含む認知症に関連する症状は、介護者の負担を重くするだけでなく、認知機能をより急速に低下させ、介護施設への入居や介護者の負担にも関係する。

標準ケアの違いにより、結果にばらつきが生じた可能性

今回速報が発表された2つの試験は、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション症状を有する51~90歳の患者約700名を対象とした多施設共同、プラセボ対照、ランダム化、二重盲検比較試験。1つ目の試験では、ブレクスピプラゾール1mg/日投与群、2mg/日投与群、プラセボ投与群に分け、12週間投与したときの同剤の有効性および安全性を比較検討。2つ目の試験では、ブレクスピプラゾール0.5~2mg/日可変用量投与群、プラセボ投与群に分け、12週間投与で有効性と安全性および忍容性について比較検討。これらの試験は北米、欧州およびロシアで実施された。

両試験は、主要評価項目である一定期間内の具体的なアジテーションの出現頻度を介護者が評価するCMAI(Cohen-Mansfield Agitation Inventory:29項目)合計スコアのベースラインからの平均変化量の比較と、副次的評価項目であるCGI-S(Clinical Global Impressions-Severity Illness Scale:精神疾患の重症度を7段階で評価)のベースラインからの平均変化量の比較でアジテーションの重症度を検討している。

試験結果速報では両試験とも、ブレクスピプラゾールを投与した患者はプラセボを投与した患者と比べて、アルツハイマー型認知症のアジテーション症状の改善を確認。1つ目の試験では、主要評価項目であるCMAIの改善は、ブレクスピプラゾール2mg投与群においてプラセボに比べ統計学的に有意だった(P<0.05)。副次評価項目のCGI-Sでは有意差が認められなかったという(P>0.05)。また、2つ目の試験は、主要評価項目であるCMAIでは有意差が認められなかった(P>0.05)が、副次評価項目のCGI-Sにおいては有意な改善が認められたという(P<0.05)。

両試験の結果は参加した国ごとにばらつきがあり、これは対象疾患における標準ケアの違いによって生じた可能性があるという。特にロシアで実施した試験においては、投与群とプラセボ群の間に差がみられなかった。安全性と忍容性に関しては、2つの試験ともブレクスピプラゾールの統合失調症とうつ病補助療法で以前に行われた試験と同程度だった。両社は、この試験結果についてFDAと協議して進め、試験結果の詳細は今後行われる学会で公表していく予定としている。

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