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治療法のある難病ポンペ病、筋ジストロフィーに似た症状-サノフィ

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2017年04月04日 PM02:00

主な症状は筋力低下と高クレアチンキナーゼ

4月15日の「国際ポンペ病の日」を前に、サノフィ株式会社はメディアセミナーを開催。「治療可能になった遺伝性筋疾患~糖原病II型(ポンぺ病)~」と題して国立精神・神経医療研究センター病院の埜中征哉名誉院長が講演した。


国立精神・神経医療研究センター病院
埜中征哉 名誉院長

ポンペ病は、ライソゾーム酵素であるαグルコシダーゼの欠損または活性低下を原因とする遺伝性疾患。骨格筋や心筋、平滑筋など筋をはじめとする多くの組織でライソゾーム中にグリコーゲンが蓄積する。主な症状は、階段の昇降や立ち上がることが辛いといった筋力低下、息が苦しいなどの呼吸機能低下だ。乳児型と遅発型に分類され、乳児型は1歳までに発症する。生後数か月から発育発達の遅れがみられ、頸屈筋の筋力低下、呼吸障害や心筋障害が起こる。進行は早く、治療を行わなければ2年以内に死亡する。遅発型は小児型と成人型があり、1歳から70歳まで幅広い年齢で発症する。特に下肢における筋力低下と血清クレアチンキナーゼ(CK)高値が主な症状だ。これらはいずれも筋ジストロフィーでもみられる症状であるため、鑑別が難しい。進行は緩やかだが、次第に筋力低下や呼吸障害が進むと、歩行障害、起立障害、呼吸不全を呈するようになる。

これらの症状がある場合、血液検査でのCK高値、肝機能障害や心筋症、大腿などの筋のCT所見、呼吸機能の低下を確認し、αGAA活性低下と筋生検でのグリコーゲン蓄積が認められればポンペ病と診断する。簡便なスクリーニング法として、1~2mL採血後に乾燥ろ紙に滴下して酵素活性を測定する検査法がある。

課題は未診断例の存在、新生児スクリーニングを実施する自治体も

国立精神・神経医療研究センターでは1978年から現在までに39例の報告があり、日本における発症頻度は10万人あたり0.1~0.3人と推定している。だが、オランダでは10万人あたり2.5人、新生児すべてをスクリーニングしている台湾では10万人あたり5.9人と日本に比べ頻度が高く、埜中氏は、日本の場合は筋ジストロフィーなど他疾患と誤診されるなど、ポンペ病患者が見逃されている可能性があることを指摘した。

かつては治療法がなかったポンペ病だが、2007年にアルグルコシダーゼアルファ(商品名:)が登場。以降は、同剤による酵素補充療法が行われている。乳児型に著効するが、遅発型にも有効だという。埜中氏が紹介した台湾の報告では、新生児スクリーニングで発見された5例の乳児型ポンペ病患児に対し、生後11週以内に治療を開始したところ、40か月後も全例が生存しており、独歩も可能になった。これに対して、治療開始が遅れると生存率は7割程度まで低下し、独歩可能になるのも4割程度であるという。さらに埜中氏は、遅発型に関しても、酵素補充療法を行った群は行わなかった群に比べて、6分間歩行テストでの歩行距離が長くなったという海外の報告を紹介。併せて5歳で発症した小児型の自験例にも言及し、治療によって「進行が遅くなり、筋痛もなくなったときいている。何より治療法があることで、患者の笑顔が明るくなった」と述べた。

ポンペ病の課題は、未診断例の存在だ。埜中氏は、「筋ジストロフィーの、特に肢帯型と診断された人や、筋疾患でまだ診断がついていない人、CKが高い人は、ぜひポンペ病を疑ってほしい」という。乾燥ろ紙による酵素活性測定検査は、国立成育医療センター、常葉大学、鳥取大学、熊本大学で実施可能。熊本県は、この検査を新生児スクリーニングとして実施しており、愛知県も今後実施予定という。「ポンペ病は、診断がつけば治療ができる。現在は自治体単位で行っている新生児スクリーニングだが、国として取り組んでほしい」(埜中氏)

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