インターネットを用いて検索可能、4月3日から提供開始
熊本大学は3月27日、国内に流通する医療機器の磁気共鳴画像(MRI)検査への適合性を調査し、インターネットを用いて検索可能なシステム「医療機器のMR適合性検索システム」を開発、4月3日より無償提供を開始すると発表した。この研究は、同大生命科学研究部医用画像学分野の藤原康博講師らと、メディエ株式会社が共同で行ったもの。
画像はリリースより
日本は人口あたりのMRI装置の普及台数が世界でも最多。MRI装置は強力な磁場を利用するため、被検者の体内に取り外すことのできない医療機器(体内デバイス)が留置されている場合には、それらの相互作用よって吸引や発熱を引き起こす可能性がある。ペースメーカーや人工関節、血管内ステントなどの医療機器を留置する人は年々増加しているが、一定の条件下でMRI検査が実施可能な製品も普及しており、医療従事者によって慎重な適合性の判断が求められる機会が増加している。MRI検査への適合性を確認するには、添付文書を詳細に調査する必要があるが、添付文書の記載方法が製品ごとに異なることや調査に多くの時間と労力を要することから負担が大きかった。
ペースメーカーなどは添付文書の直接閲覧も可能
研究グループは、医薬品医療機器総合機構(PMDA)に掲載されている添付文書約3,500種類を元に、体内デバイスのMRI検査への適合性についてデータベースを作成。さらに、利用者がインターネットを通じてデータベースにアクセスし、体内デバイスのMR適合性を検索可能なシステムを構築した。
データベースは、体内留置デバイスの添付文書情報の内容から、MR Safe(いかなるMR環境下でも既知の危険性がない)、MR Conditional(指定されたMR環境下で既知の危険性がない)、MR Unsafe(すべてのMR環境下で既知の危険性がある)、Safety in MRI Not Evaluated(安全性について評価していない)、それら以外(MR適合性に関する記載がない等)の5つに分類。さらにMR Conditionalの製品については、適合性を統一した項目として集約し、医療従事者が適合性を容易に確認可能な情報として提示した。また、適合性が複雑かつ多様な条件付きMR対応ペースメーカーなどの電子機器は、添付文書を可能な限り直接閲覧できる仕様になっているという。
研究グループは、医療従事者が同システムを利用することによって、適合性に関する調査の負担が大きく軽減され、MRI検査の安全性向上に大きく寄与できると述べている。今後は、関連学会や医療機器メーカーの協力を得ながら、さらなる改善と情報の更新を継続していく考え。
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