再発又は遠隔転移を有する頭頸部がんに適応拡大
小野薬品工業株式会社と米国のブリストル・マイヤーズ スクイブ社は3月24日、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体「オプジーボ(R)点滴静注20mg、同100mg」について、「再発又は遠隔転移を有する頭頸部がん」に対する国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得したと発表した。
頭頸部がんは、頭頸部領域に発生する悪性腫瘍の総称。原発部位には口唇、口腔、鼻腔、副鼻腔、上咽頭、中咽頭、下咽頭、喉頭、大唾液腺と粘膜悪性黒色腫がある。国内における年間患者数は約24,000人と推定されている。
再発または遠隔転移を有する頭頸部がんに対しては、プラチナ製剤による化学療法が第一選択として推奨されている。大多数の患者で局所領域に病勢進行が認められ、患者の50%以上は3年以内に再発する。しかし、プラチナ製剤投与後の早期に再発または転移が認められた患者に対しては、既存治療で全生存期間(OS)の延長が検証された薬剤がなく、新たな治療選択肢が期待されていた。
局所治療が適応とならない患者において、OS延長に加えQOLも改善
オプジーボは、頭頸部がんの治療薬としては、日本で承認された初めての免疫チェックポイント阻害薬。プラチナ製剤を含む化学療法後に再発または病勢進行し、局所治療が適応とならない頭頸部がん患者において、対照群と比較してOSの延長を示した。また、同剤投与群は対照群と比較して、生活の質の改善も確認されているという。
日本人を含む再発または転移性頭頸部がん患者を対象とした国際共同第3相臨床試験(ONO- 4538-11/CA209141試験)において、主要評価項目である全生存期間は、同剤群で7.49か月と、対照群の5.06か月に対して統計学的に有意な延長を示した(ハザード比0.70、97.73%信頼区間:0.51~0.96、p=0.0101)。同試験におけるオプジーボの安全性プロファイルは、これまでの臨床試験の結果と一貫しており、新たな安全性シグナルは認められなかったという。
同剤は、2014年9月に根治切除不能な悪性黒色腫の治療薬として発売。その後、2015年12月に切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん、2016年8月に根治切除不能または転移性の腎細胞がん、2016年12月に再発または難治性の古典的ホジキンリンパ腫に対する承認を取得した。胃がんについても承認申請中であり、食道がん、胃食道接合部がん、小細胞肺がん、肝細胞がん、膠芽腫、尿路上皮がん、悪性胸膜中皮腫、卵巣がん、胆道がんなどを対象とした臨床試験を実施中という。
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・ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社 プレスリリース