ORRが20.4%、OS中央値は14.1か月と臨床的有効性を示唆
英・アストラゼネカ社は2月17日、局所進行あるいは転移尿路上皮がん(UC)患者におけるdurvalumab(一般名「デュルバルマブ(遺伝子組換え)」の有効性および安全性に関する第1/2相試験の最新結果を、2017年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)泌尿器がんシンポジウムで発表した。
今回データが発表されたStudy1108試験では、局所進行あるいは転移UC患者191例を対象に、最長12か月間、2週間ごとにデュルバルマブ10mg/kgを静脈内投与した。全評価可能症例における客観的奏効率(ORR)は20.4%(n=103)(95% 信頼性区間(CI):13.1%-29.5%)、PD-L1を発現する腫瘍を持つ症例におけるORRは31.1%(95%CI:19.9%-44.3%)。データカットオフ時点における全生存期間(OS)中央値は、14.1か月(95%CI:4.7-推定不能)だった。
5%以上の患者において最もよく見られた報告有害事象は、疲労(19.4%)、食欲減退(9.4%)、下痢(8.4%)、発疹(7.3%)、悪心(6.8%)、関節痛(5.8%)、発熱(5.8%)、掻痒(5.2%)だった。グレード3または4の有害事象は6.8%の患者において発症し、3例が有害事象により治療を中止したという。
非小細胞肺がん、頭頸部扁平上皮がんなど30を超える臨床試験を実施中
デュルバルマブは、PD-L1を直接標的とするヒトモノクローナル抗体。T細胞のPD-1およびCD80とのPD-L1の相互作用を阻害することで、腫瘍の免疫からの逃避機構が働かないよう作用し、免疫反応を誘導する。切除不能および転移膀胱がん患者の1次治療として、単剤療法およびCTLA-4を標的とするチェックポイント阻害剤tremelimumab(一般名「トレメリムマブ(遺伝子組換え))との併用においても第3相試験であるDANUBE試験で検討されている。現在、同剤単剤療法あるいはトレメリムマブとの併用で、非小細胞肺がん、頭頸部扁平上皮がん、膀胱がん、胃がん、膵臓がん、肝細胞がんおよび血液がんにおいて検討する30件を超える臨床試験を実施中だ。
2016年12月には、過去に1回以上の標準的プラチナ製剤ベースの化学療法による治療中もしくは治療後に病勢が進行した局所進行あるいは転移UC患者における、同剤の生物学的製剤承認申請(BLA)審査受理をFDAより取得し、優先審査品目の指定を受けている。この指定は、1回以上のプラチナ製剤ベースの化学療法による治療中もしくは治療後に病勢が進行したPD-L1陽性切除不能あるいは転移尿路上皮膀胱がん患者の治療薬としての同剤の画期的治療薬指定に続くもの。
同社は、現在実施中の第3相DANUBE試験においても、膀胱がんの1次治療でデュルバルマブ単剤療法およびトレメリムマブとの併用療法を継続して検討していくとしている。
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・アストラゼネカ株式会社 プレスリリース