切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんを対象として
中外製薬株式会社は2月17日、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を対象として開発を進めていた改変型抗PD-L1モノクローナル抗体「アテゾリズマブ(遺伝子組換え)」(一般名)の製造販売承認申請を厚生労働省に行ったと発表した。
アテゾリズマブは、腫瘍細胞または腫瘍浸潤免疫細胞に発現するPD-L1を標的としたモノクローナル抗体。PD-L1は、T細胞の表面上に見られるPD-1、B7.1の双方と結合しT細胞の働きを阻害する。アテゾリズマブはこの結合を阻害することによりT細胞が活性化され、腫瘍細胞を効率的に検出し攻撃するという。
同剤(海外販売名:Tecentriq(R))は、2016年5月に局所進行または転移性尿路上皮がんの二次治療、同年10月に白金製剤ベースの化学療法施行中または施行後に病勢が進行した転移性非小細胞肺がんに対する承認を米国食品医薬品局(FDA)から取得。また、2017年1月にシスプラチンによる化学療法が不適格な局所進行または転移性尿路上皮がんの一次治療に対し、優先審査品目に指定されている。
OS中央値、ドセタキセル群9.6か月に対してアテゾリズマブ群13.8か月
今回の申請は、国際共同第3相臨床試験(OAK試験)などの成績に基づいている。OAK試験は、プラチナ製剤併用化学療法の施行中または施行後に増悪した局所進行または転移性非小細胞肺がん患者を対象に、アテゾリズマブの有効性と安全性をドセタキセルと比較したオープンラベルランダム化多施設共同国際第3相臨床試験。主解析は、最初に登録された850人の患者で実施し、全生存期間(OS)を主要評価項目とした。
その結果、PD-L1の発現状況にかかわらず、アテゾリズマブ群のOS中央値は13.8か月(95%信頼区間:11.8-15.7か月)、ドセタキセル群のOS中央値は9.6か月(95%信頼区間:8.6-11.2か月)であり、アテゾリズマブ群で統計学的に有意なOS延長が認められた[ハザード比:0.73(95%信頼区間:0.62-0.87)、p=0.0003(層別log-rank検定)]。
安全性については、OAK試験において両群で発現した有害事象はこれまでに報告されたものと同様だった。アテゾリズマブ群でドセタキセル群に比べ多く発現した有害事象は、筋骨格痛(10.5%対4.3%)、そう痒症(8.2%対3.1%)だったとしている。
切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんの患者および医療従事者に新たな治療選択肢となるアテゾリズマブを早期に提供できるよう、承認取得に向けて取り組んでいくと、同社は述べている。
▼関連リンク
・中外製薬株式会社 ニュースリリース