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認知症の早期診断を可能とする医療機器開発プロジェクトを受託-日立と北大

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2017年01月26日 AM10:30

検査時間の短縮もできるMRI検査法の開発を共同で推進

株式会社日立製作所は1月24日、北海道大学と共同で日本医療研究開発機溝()から「認知症の早期診断・早期治療のための医療機器開発プロジェクト」を受託したことを発表した。同大学と日立製作所は2016年11月から2019年3月までの間、QSM(鉄濃度定量の分布を解析する手法)とVBM(脳の萎縮の程度を客観的に評価する手法)を組み合わせたハイブリッド撮像・解析による、認知症の早期診断および検査時間の大幅な短縮が可能となる新たなMRI検査法の研究開発を共同で進めるとしている。

今回のプロジェクトでは、QSMとVBMの同時撮像ができるハイブリッド撮像法を新たに開発し、撮像時間を現在の10分以上から5分前後に短縮するほか、QSMとVBMのハイブリッド解析法を開発して、解析時間を大幅に短縮することも目指す。これらの撮像法や解析法は、北海道大学病院において臨床研究を行いながら開発を進め、さらに、その他のMRI検査法の結果を組み合わせて、撮像画像を総合的に解析することで、健常人と軽度認知障害患者の鑑別診断、健常人とアルツハイマー型認知症患者の鑑別診断などにおいて、さらなる解析精度向上も図る予定。

北海道大学ではこれまでも認知症を含め、さまざまな病気のMRI検査法の先端的な臨床研究を行っている。認知症の診療において行われるMRI検査は、SPECTなどの核医学的検査と比較して放射線被ばくがないため、日常診療に多く用いられている。特に、脳の特定部位の萎縮を客観的に評価するVBMは、軽度認知障害の診断やアルツハイマー型認知症への移行予測において、一定の有用性が報告されているものの、VBMだけでは認知症と確定することが難しいため、MRI検査のさらなる開発・発展が必要とされている。

一方、日立は2011年から、新しいMRI計測技術のひとつである、鉄濃度定量の分布を解析するQSMの開発を行ってきた。アルツハイマー型認知症では大脳基底核や扁桃体などの特定領域に鉄が沈着し、磁化率変化が生じることが報告されていることから、QSMとVBMを組み合わせた解析を用いることで、軽度認知症段階での診断、アルツハイマー型認知症への移行予測などにおいて、高い精度の検査が可能になると見込んでいる。

プロジェクト終了後5年以内にシステムの製品化目指す

現在のMRI検査では、VBMに必要な高精細3次元T1強調像と、QSMに必要な磁化率強調画像の両方を取得するのに撮像時間が10分以上、解析時間に約20分かかる。また、患者の体動により撮像画質に劣化が生じるため、患者は10分以上、検査中に静止する必要がある。そのため、患者負担の低減および撮像画像の高精度化の実現には、検査時間の短縮が求められている。

両者はこれまでも、医学・工学分野における技術や知識を活用し、未来創薬・医療イノベーション拠点形成や陽子線がん治療システムなど多くの共同開発で成果を挙げてきた。今後も、同プロジェクトで開発される技術をもとに、日立製作所はプロジェクト終了後5年以内にハイブリッド撮像法を搭載したMRIシステムの製品化とともに、ハイブリッド解析法のソリューション提供、北大病院では、認知症の早期診断法の確立と検証を進め、認知症の進行抑制や発症予防に役立てていくとしている。

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