正規取引先以外の経路から入手と判明
厚生労働省は1月17日、ギリアド・サイエンシズ株式会社が販売するC型肝炎治療薬「ハーボニー(R)配合錠」の偽造医薬品が奈良県内の特定の薬局チェーンで流通し、調剤された事例が認められたと発表した。現在、流通経路等を調査中だが、同様の事例の発生を防止するため、医療機関、薬局及び医薬品の販売業者に対する注意喚起及び必要な指導を行うよう呼びかけている。
ソバルディと類似した錠剤が混入したボトルも
(画像はリリースより)
同日、ギリアド・サイエンシズも「ハーボニー配合錠偽造品について」と題するリリースを同社ウェブサイトに掲載。「偽造品は、ギリアドの正規取引先以外の経路から入手されたことが判明しています。弊社は現在、当局の捜査に協力しながら事態について調査中」と報告した。
同リリースによると、現在までにハーボニー配合錠と明らかに外見の異なる錠剤が単独、またはハーボニー配合錠と外見が類似した錠剤と混在した形で確認されている。これら偽造品を服用に起因したと考えられる有害事象の報告は、現時点でないという。
偽造品を写真付きで紹介 患者、医師、薬剤師に確認を要請
ギリアド・サイエンシズは患者向け、医師向け、薬剤師向けのリリースをそれぞれ掲載。現在、ハーボニー配合錠を服用している患者には、医療機関や薬局で同剤を受け取った時点で、ボトルの中に28錠封入されていたか、錠剤の形状がひし形で、錠剤の表面には「GSI」、反対側には「7985」の刻印があり、色がだいだい色であることを確認するよう呼びかけている。また、これから医療機関や薬局で同剤を受け取る際には、製品を薬剤師と開封し、錠剤を確認するよう依頼。服用を完了した患者には、自身が内服したものと著しく異なる場合は、医療機関や薬局の薬剤師に問い合わせするよう促している。
医師には、患者がハーボニー配合錠を受け取る際、医療機関や薬局にて必ずボトルを開封し、異常や不自然な点が認められないかを確認するよう指導してほしいと依頼。すでに服用した錠剤の形、色、ボトル内の錠数等について、真正品と異なっていたと患者から連絡を受けた場合、「適切なフォローアップなどを通し薬効欠如を含めた有害事象がなかったかのご確認をお願いします。有害事象が発生している場合にはそのご対応をお願いいたします」としている。
さらに薬剤師に対しては、上記の注意と合わせて、「正規ルートを通じて真正品(未開封の外箱に添付文書と共に梱包)をご購入いただきますようお願いいたします」と要請。患者が真正品と異なる製剤を服用していた場合、主治医の受診を勧めるとともに、主治医にその旨を伝え、治療の継続・中止の判断はその場ではせずに医師に相談するよう呼びかけている。
なお、同リリースにはハーボニー配合錠の真正品、偽造品の事例が画像付きで紹介されている。同社のメディカルサポートセンター偽造品専用ホットラインは「0120-631-042」(受付時間:24時間)。