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高脂肪食の過剰摂取に起因する脂肪肝発症メカニズムを解明-東北大

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2017年01月10日 AM11:45

細胞内で不要となったタンパク質を分解・除去する分子beta-TRCP1に着目

東北大学は1月4日、高脂肪食の過剰摂取に起因する脂肪肝発症メカニズムを解明したと発表した。この研究は、同大大学院歯学研究科先端再生医学研究センターの犬塚博之准教授らのグループが、米国のBeth Israel Deaconess Medical Center, Harvard Medical Schoolと共同で行ったもの。研究成果は、米科学雑誌「Science Signaling」電子版に1月3日付けで掲載されている。


画像はリリースより

食生活の欧米化に伴い、)は年々増加。NAFLDは先進国で最も頻度の高い肝疾患とされており、日本では成人の1~3割が罹患しているとも推定されている。

研究グループは今回、beta-TRCP1と呼ばれる、細胞内で不要となったタンパク質を分解・除去する役割を担う分子に着目し解析を進める過程で、脂肪肝発症に関わる新たな分子機構を発見したとしている。

細胞には、細胞内で不要となったタンパク質を積極的に分解し、除去するタンパク質品質管理機能が備わっている。その機能に積極的に関与しているのが、・プロテアソーム系と呼ばれるタンパク質分解機構。このユビキチン・プロテアソーム系は、細胞周期、免疫、代謝などさまざまな細胞機能を調節することが知られている。その中でbeta-TRCP1は、細胞内の幅広い種類のタンパク質に結合し、それらを分解に導くことで、細胞機能の調節に関与すると考えられている。

脂肪性肝疾患の予防法・治療法の開発に期待

研究グループは、beta-TRCP1の機機能解明を目的として、beta-TRCP1の基質の探索を行い、Lipin1と呼ばれる新たな基質タンパク質を同定。Lipin1は、肝臓において脂肪の消費を促進し、脂肪の合成を抑制する働きが報告されていることから、beta-TRCP1が Lipin1タンパク質を分解することで、肝臓での脂肪合成を促進することが予想された。実際にbeta-TRCP1を培養肝臓細胞で欠損させたところ、Lipin1タンパク質が分解されずに細胞内に蓄積し、それに伴い細胞内で脂肪の合成量が減少することを確認した。

また、この仕組みが実際に生体内でも機能していることを確かめるため、beta-TRCP1を全身で欠損させたbeta-TRCP1ノックアウトマウスと野生型マウスにそれぞれ高脂肪食を長期間摂取させ、肝臓における脂肪の蓄積量を観察。その結果、高脂肪食摂取後に野生型マウスで観察される脂肪肝が、beta-TRCP1ノックアウトマウスで抑制されることを発見したとしている。

これらの研究成果から、beta-TRCP1の働きを抑制することで、NAFLDをはじめとした脂肪性肝疾患の新規予防法の開発が可能になることが示唆された。また、同疾患に対する有効な治療法の開発につながることも期待できると、研究グループは述べている。

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