主要評価項目は安全性、忍容性および第2相臨床試験の推奨用量の検討
第一三共株式会社は12月6日、MDM2阻害剤「DS-3032」の第1相臨床試験の結果が、第58回米国血液学会(ASH)で公表されたことを発表した。
MDM2はがん抑制因子であるp53の作用を制御するたんぱく質。MDM2阻害剤は、MDM2とp53の結合を阻害することによってp53を活性化し、p53を有するがん細胞に細胞死をもたらすことが期待されている。
今回の発表内容は、米国内で実施した第1相臨床試験の用量漸増パートにおける安全性および有効性の予備的データ。再発性または難治性の急性骨髄性白血病または高リスクの骨髄異形成症候群を有する38人の患者がこの試験に登録され、そのうち37人の患者に対して同剤を1日1回、21日間連続投与した後、7日間休薬する28日間を1サイクルとする投与を行った。同試験の主要評価項目は、安全性、忍容性および第2相臨床試験の推奨用量の検討だった。
最大耐用量は1日1回160mgに
その結果、安全性については、5人の患者に用量制限毒性が認められた。内訳は、1日1回160mgを投与された2人の患者で低カリウム血症(グレード3)または下痢(グレード3)がみられ、1日1回210mgを投与された3人の患者で悪心および嘔吐(グレード3)、食欲不振および倦怠感(グレード3)またはクレアチニン値上昇および腎不全(グレード2)がみられた。その結果、最大耐用量は1日1回160mgに決定された。
予備的な有効性については、同剤の初回投与から28日後(最初のサイクル終了後)に骨髄検査を受けた26人の患者のうち15人に骨髄芽球の減少がみられた。また、1日1回120mgを4か月間または1日1回160mgを13か月間投与された、再発性または難治性の急性骨髄性白血病を有する患者2人に完全寛解がみられた。さらに、1日1回120mgを4か月間投与された高リスクの骨髄異形成症候群を有する患者1人に完全寛解がみられたとしている。
第一三共は、今後の臨床試験を通じて、同剤の至適用法・用量および他剤との併用などについて検討していきたいとしている。
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・第一三共株式会社 ニュースリリース