世界26か国から被験者2,124人が登録
ドイツのバイエル社は11月14日、ステント留置を伴う経皮的冠動脈形成術(PCI)施行後の非弁膜症性心房細動(AF)患者を対象に、経口第Xa因子阻害剤「イグザレルト(R)」(一般名:リバーロキサバン)を2つのレジメン(用量・用法)で投与し、ビタミンk拮抗剤(VKA)投与と比較した第3b相臨床試験「PIONEER AF-PCI」の結果を、米国心臓協会(AHA)2016年年次学術集会の最新臨床試験セッションで発表した。同時に「The New England Journal of Medicine」にも掲載された。
同試験は、ステント留置を伴うPCI施行後の非弁膜症性AF患者を対象に、リバーロキサバンを2つのレジメンで投与したときの安全性を用量調節VKAと比較検討することを目的とした非盲検、無作為化、第3b相臨床試験。世界26か国から被験者2,124人が登録された。
主要評価項目は、無作為割付12か月後の「臨床的に意味のある出血(TIMI出血基準による「大出血」「小出血」「治療を要する出血」の複合と定義)」の発現率。被験者は、3つの投与群に1:1:1の比率で無作為に割り付けられた。
サブ解析でも全死亡または有害事象による再入院の発生率を有意に低下
リバーロキサバン15mg1日1回と抗血小板剤(P2Y12拮抗剤)単剤療法の併用群では、VKAと抗血小板剤2剤併用療法(DAPT)の3剤併用群と比較して、無作為割付12か月後の「臨床的に意味のある出血」の発現率において41%の有意な相対リスクの減少が認められた(絶対リスク減少率は9.9%)。リバーロキサバン2.5mg1日2回とDAPTの併用群においても、VKAとDAPTの併用群に比べて無作為割付12か月後の「臨床的に意味のある出血」の発現率において、37%の相対リスクの減少が認められ(絶対リスク減少率は8.7%)、統計学的有意差が示された。
リバーロキサバンについては広範な研究が行われており、試験終了までに臨床試験と実臨床を合わせて27万5,000人以上が参加する予定で、PIONEER AF-PCI試験はその一環となるもの。また、同試験のサブ解析では、リバーロキサバンと抗血小板療法の併用群で、全死亡または有害事象による再入院の発生率が、VKAと抗血小板療法の併用群に比べて有意に低いことが示されており、このデータも医学誌「Circulation」に掲載されている。
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・バイエル薬品株式会社 ニュースリリース