薬局の在宅業務をめぐっては、昨年の診療報酬改定で、小規模薬局に在宅医療への参画を促すため、主に在宅業務を担う基幹薬局と連携している薬局にも「在宅患者訪問管理指導料」等の算定を認める評価を新たに導入。また、無菌製剤処理加算に関する施設基準の見直しを行うことで薬局の負担を軽減し、在宅業務に必要な無菌調剤を行いやすくした。
厚労省の集計によると、無菌調剤を実施している薬局は少数だが、そのうち8割以上が在宅業務を行っていることが分かった。特に無菌調剤処理をしている薬局では、在宅患者訪問管理指導料の算定回数が高い傾向が強まっているという。
ただ、在宅患者訪問管理指導の届け出を行った薬局のうち、実際に指導料を算定した薬局数の割合は低い。2008年度が10・2%、09年度が10・5%、10年度が10・0%、11年度が9・7%、12年度が9・5%と、最近5年間は約1割にとどまっている。また、在宅患者訪問管理指導を実施している薬局で算定回数を見ると、年間50回未満の薬局が約7割に上る状況に大きな変化はない。
そこで厚労省は、薬局における在宅薬剤管理指導業務の現状を把握するため、7月に実態調査を行うことにした。昨年の診療報酬改定で導入した薬局同士の連携や無菌調剤に関する薬局の負担軽減効果、医療機関や訪問看護ステーション、歯科診療所との連携状況等について調査する。
その上で、調査結果を踏まえ、在宅薬剤管理指導業務の現状を分析、検証し、一層の推進に向けた課題を浮かび上がらせる。調査は7月に開始し、9月に速報結果をまとめる。
三浦洋嗣委員(日本薬剤師会副会長)は、「今後も小規模薬局が在宅業務に取り組みやすい環境整備が必要。地域に密着した薬局こそ、在宅医療を推進していく上で重要な存在と考えている」と強調。昨年8月の省令改正で実施可能になった無菌調剤室の共同利用についても言及し、「現行の注射薬の調剤料は、それを想定した報酬体系となっていない。実際に在宅医療で注射薬の無菌調剤は欠かせないので、共同利用に対応した見直しが必要」と報酬体系の見直しを求めた。
一方、鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は、「医療機関からの薬剤師の在宅訪問についても同等に評価されるべき」と主張。医療連携で薬剤師が重要な役割を果たしており、その効果は大きいとして、薬局薬剤師と同等の評価を求めた。
■具体例求める意見相次ぐ‐費用対効果部会
また同日、費用対効果評価専門部会を開き、日本における医療技術評価結果の活用方法について議論した。委員からは、具体的な事例をもとに議論する必要性を指摘する意見が相次ぎ、森田朗会長が「これまでの議論は分析手法に傾きすぎ。具体的な事例を示し、次期改定でどう費用対効果評価を組み入れていくのかメドが立つようにしてもらいたい」と異例の注文を行った。
この日の部会では、保険償還の可否の判断、保険償還価格への反映といった費用対効果評価の活用方法、保険収載の前後や1~2年後といった活用時期などについて、事務局が論点を提示し、自由討議を行った。
鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は、「日本は社会保険方式の国であり、保険償還価格への反映になるのではないか」と指摘。「評価を行う人材育成が欠かせない。何をもって最終的な決断をするのか材料も必要」と意見を述べた。
安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は、「日本の医療保険制度の中で、効果1単位増加当たりの費用(ICER)をどう定義するのか、本質的な議論が必要。そこに絞って日本での費用対効果評価の使い方を決めるべき」と主張。嘉山孝正委員(全国医学部長病院長会議相談役)も同調し、「具体的な事例に、どういう費用対効果評価の項目を取り入れていくか」と具体例の提示を要求。他の委員からも具体例の提示を求める意見が相次いだ。