40~60代1,246人を対象に心疾患が個人と社会にもたらす影響を調査
サノフィ株式会社は、東京大学大学院薬学系研究科医薬政策学の五十嵐中氏と共同で、高コレステロール血症患者のLDLコレステロール(LDL-C)管理不徹底に起因する心疾患が個人と社会にもたらす影響について、日本在住の40~60代男女1,246人を対象にウェブアンケートおよび文献検索による調査を実施。その結果を、11月21日に都内で開かれたメディアセミナーで発表した。
東京大学大学院薬学系研究科医薬政策学
特任准教授 五十嵐 中 氏
回答者の内訳は、健常人264人(健常者群)、心疾患を発症したことがない高コレステロール血症患者528人(治療あり群)、心疾患を発症したことがある高コレステロール血症患者454人(イベントあり群)。
調査結果から、高コレステロール血症患者が心疾患を発症すると、発症前と比較して生活の質(QOL)が低下するほか、やめる・休むなどの仕事が「できない」損失とパフォーマンス低下による仕事が「はかどらない」損失の2つの要素からなる「生産性損失」は9.7%低下し、金額換算すると1人当たり年間47万5,000円相当の損失となることがわかった。
今後も高コレテロール血症患者が加速度的に増加。予防が重要に
また、過去の疫学研究データを用いて冠動脈疾患リスクを算出し、LDL-Cの管理不徹底を起因とする心疾患の10年間の発症件数を推計したところ、約28万4,000件だった。心筋梗塞を発症すると、1回当たり医療費を200万円と仮定した場合、10年間の急性期医療費は5694億円、生産性損失は約1351億円で、控えめに見積もっても7045億円の損失になるとしている。
これらの結果を踏まえ、五十嵐氏は、「高コレステロール血症は自覚症状が薄いが、イベントを起こすと医療費、生産性、QOLすべてに影響する」と総括。今後も食習慣の欧米化と高齢化に伴って、LDL-C値が高い高コレテロール血症の患者が加速度的に増加し、個人だけでなく社会にもより大きな損失が出ると予測されることから、心疾患の予防が個人、社会ともに重要であると指摘した。
▼関連リンク
・サノフィ株式会社 ウェブサイト