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心磁図検査、拡張型心筋症患者の予後予測に有効

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2016年11月21日 PM12:00

電流分布画像化技術を用いて電気信号の伝播を観察

国立循環器病研究センターは11月17日、心磁図検査が拡張型心筋症における予後予測に有効であることを明らかにしたと発表した。この研究は国循病院心臓血管内科の不整脈科と研究所循環動態制御部の共同研究チームによるもの。研究成果は「Circulation Journal」に11月17日付で掲載されている。


画像はリリースより

拡張型心筋症は、心不全や突然死、心室性不整脈などを発生させやすい予後不良疾患。拡張型心筋症患者の心筋には線維化が生じており、心筋の発する電気信号に異常を生じさせること、この局所的な電気信号の異常により、心機能が低下し心不全を発症したり心室性不整脈を誘発したりすることがわかっている。一方、心磁図検査は心臓の電気信号の伝達を詳細に評価できることから、心筋症の予後不良因子となる電気信号の異常を検出できる可能性があり、心磁図検査の臨床的意義の確立が期待されていた。

研究チームは、左室機能が低く心電図検査でQRS幅に明らかな伝導遅延が認められない拡張型心筋症患者51例に対し、64チャンネル心磁計で測定。測定した心磁波形をもとに、株式会社日立製作所が開発した電流分布画像化技術を用いて電気信号の伝播を観察した。その結果、正常な左室の電気信号は時計回りに一定の強さで伝達しているが、拡張型心筋症患者の場合は左室の電気信号が不規則に伝達されていることがあるとわかった。

他の心疾患や生活習慣病例への使用で電気生理学的な病態解明も

次に研究チームは、電気信号異常のある患者群(電気信号が不規則に伝達されている患者群:22例)と異常のない患者群(電気信号が時計回りに一定の強さで伝達されている群:29例)に分けて平均2.9年追跡し、心イベント(心臓死・心室性不整脈・左室人工心臓植込術移行)の発生頻度を比較した。その結果、電気信号異常がある患者群の心イベント発生率は59%(13例)、異常がない患者群の心イベント発生率は10%(3例)となり、左室の電気信号が不規則に伝達される異常興奮があると明らかに予後不良となることが判明。今回の心磁図検査で検出された異常と、従来予後予測に使用してきた心電図検査や血液検査、画像検査所見の各指標を解析し検討した結果、心磁図検査により一定の精度で予後予測が可能なことが明らかとなったという。

これらの結果から、心電図に異常のない拡張型心筋症患者において、心磁図検査で検出された左室の電気信号異常は心イベントの予測指標として有用であること示唆された。非侵襲的に心臓の電気信号を評価可能な心磁図検査は、予後不良のリスクを明らかにするだけでなく、カテーテル治療や心臓再同期療法などの治療の際にも有益な情報を検出できる可能性があるという。今後は、拡張型心筋症に限らず様々な心疾患や生活習慣病の症例に使用することで、電気生理学的な病態解明が進むことも期待されると、研究チームは述べている。

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