アトピー性皮膚炎の程度・重症度に関する主要評価項目を達成
仏・サノフィ社は10月1日、Regeneron社と共同でコントロール不良の中等症から重症アトピー性皮膚炎の成人患者を対象とした治験薬「Dupixent(R)」(一般名:dupilumab)を評価する2つの第3相プラセボ対照試験であるLIBERTY AD SOLO 1試験、SOLO 2試験の結果を発表した。この結果は、第25回欧州皮膚科学・性病学会(EADV 2016)にて発表され、「The New England Journal of Medicine」誌にも掲載されている。
第3相LIBERTY AD臨床プログラムは、世界各地の施設において中等症から重症アトピー性皮膚炎患者を対象として行う5つの試験から構成。SOLO 1試験およびSOLO 2試験には1,379例が登録された。主要評価項目は、アトピー性皮膚炎の程度および重症度で、主な副次評価項目は、そう痒スコアの低減、患者の不安・抑うつスコアと一部のQOL評価スコアの改善。患者は、初回投与量として同剤600mgを皮下投与後に300mgを16週間にわたり毎週皮下投与する群、同剤300mgを隔週皮下投与する群、プラセボ投与群の3群にランダムに割り付けられた。
単独の全身療法で症状軽減、QOL改善を示した初の大規模ピボタル試験
16週目時点の皮膚病変の程度をIGA(Investigator’s Global Assessment)スケールを用いた5段階で評価したところ、同剤300mg毎週投与群において、それぞれ37%と36%の患者が、また同剤300mg隔週投与群において、それぞれ38%と36%の患者が、皮膚病変なし(IGAスコア0)、またはほぼなし(IGAスコア1)を達成。プラセボ群では、それぞれ10%と8.5%だった(p<0.0001)。また、16週目時点のEASI(Eczema Area and Severity Index、湿疹面積・重症度指数)評価も、同剤300mg毎週投与群においてそれぞれ52%と48%の患者が、また同剤300mg隔週投与群においてそれぞれ51%と44%の患者が、EASIスコアがベースラインから75%以上の改善を示すEASI-75を達成、プラセボ群においては、それぞれ15%と12%だった(p<0.0001)。副次評価項目であるそう痒スコアも有意に改善し、患者の不安・抑うつスコア、一部のQOL評価スコアも改善したという。
同剤は、アトピー性皮膚炎、喘息および鼻茸などのアトピー性またはアレルギー性疾患の主な原因とされている2型(タイプ2ヘルパーT細胞を含む)免疫反応を引き起こすIL-4およびIL-13のシグナル伝達を阻害する。同剤の生物学的製剤承認申請(BLA)は、米国食品医薬品局(FDA)に優先審査の対象として受理されており、審査終了目標日は2017年3月29日に設定されているという。2014年にはFDAが同剤をコントロール不良の中等症から重症のアトピー性皮膚炎成人患者に対するBreakthrough Therapy(画期的治療薬)に指定。欧州医薬品庁(EMA)とFDAは、同剤をdupilumabの商標として条件付きで承認している。
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・サノフィ株式会社 プレスリリース