PFS、TTFに次ぐ3つ目の主要評価項目結果を発表
ドイツのベーリンガーインゲルハイム社は10月9日、EGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者の一次治療薬として第二世代のEGFR阻害薬「アファチニブ(商品名:ジオトリフ)」と第一世代のEGFR阻害薬の有効性および安全性を直接比較した第2b相試験「LUX-Lung 7試験(LL7)」における全生存期間(OS)に関する結果を2016年度欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2016)で発表した。
LL7は、前治療歴のないEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん患者を対象にアファチニブとゲフィチニブ(製品名:イレッサ)を直接比較した初めての試験。この第2b相試験では、発現頻度が高いEGFR遺伝子変異(エクソン19欠失(del19)またはL858R)を有する進行NSCLC患者319人を対象に行われた。複数設けた主要評価項目は、独立判定委員会による評価に基づく無増悪生存期間(PFS)、治療成功期間(TTF)、OS。副次評価項目は客観的奏効率、病勢コントロール率、腫瘍縮小、患者報告アウトカム、安全性などだった。
OSデータ成熟度が100%になった時点でさらに詳しい解析結果を発表予定
主要評価項目の1つとして検討されたOSは、アファチニブ群では対照薬群と比較して死亡リスクを14%抑制。(ハザード比=0.86、95%信頼区間0.66~1.12、p=0.2580)。中央値は、アファチニブ群で27.9か月であったのに対し、対照薬群は24.5か月で3.4か月長かったが、統計学的に有意なレベルには至らなかった。なお、アファチニブ群に認められたOSと、発現頻度が高いEGFR遺伝子変異を有する患者群における結果は一貫していたとしている。このOSデータの成熟度は現時点で71%のため、100%になった時点でさらに詳しい解析結果を発表する予定。
LL7の共同治験責任医師を務めたドセ・デ・オクトゥブレ大学病院のProf. Luis Paz-Aresはプレスリリースで「LUX-Lung 7試験では、アファチニブ群の全生存期間中央値が対照薬群より3.4か月長く、低い死亡リスクでした。統計学的に有意なレベルには至りませんでしたが、同試験でアファチニブ群にみられたPFSおよびTTFの有意な改善と併せて、この2剤の差に関する臨床的に意義ある知見と言ってよいと思います」と述べている。