健康保険組合連合会の幸野庄司理事は10日、名古屋市内で開かれた第49回日本薬剤師会学術大会で講演し、薬剤師の調剤権を医師の処方権と「同等に近づけたい」と述べ、「調剤権の拡大・強化」を2018年度診療報酬改定の重点事項の一つに位置づける考えを示した。中央社会保険医療協議会の支払側委員でもある幸野氏は、具体例として、薬剤師が残薬を確認した場合の分割調剤や、リフィル処方箋の導入、処方箋の後発品変更不可欄の削除を挙げた。いずれも、医療費抑制の観点から提案する予定だが、支払側として、中医協の場で「しっかりと後押し」できるよう、かかりつけ薬剤師・薬局を着実に普及させるなどし、実績を作っておくことも求めた。
幸野氏は、中医協での議論を通して、「医師の処方権があまりにも強いため、薬剤師の調剤権と格差がありすぎる」との印象を語り、「こうしたことが医薬分業を歪ませた一つの要因になったのではないか」と指摘。18年度改定に向けて、「薬剤師の調剤権を医師の処方権と同等に近づけていく。これは強く主張していきたい」と述べた。