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大手はノルマ設ける一方で単店は「積極的」9%、経営規模や立地種別で違い~QLife「かかりつけ薬剤師に関する実態調査」

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2016年09月30日 PM03:30

」制度に積極的な薬局21%のみ

2016年度の診療報酬改定で新設された「かかりつけ薬剤師」制度。この新制度について、現場の混乱を報じるマスコミもあるが、当の薬剤師はどのように取り組み、どう感じているのだろうか。また、実際に「」としての役割を果たせているのか。QLifeは調剤薬局に勤務している薬剤師300人に、かかりつけ薬剤師に対する積極性などを聞いた「『かかりつけ薬剤師』に関する実態調査」を実施、その調査結果を公表した。

調査の結果、「かかりつけ薬剤師」制度に積極的な薬局は、21%のみ。特に10店舗以下の小規模経営の薬局は、消極的なところが多いことが分かった。また、かかりつけ薬剤師の指名件数を、「ノルマ」「インセンティブ」など人事評価に結び付けている薬局もある。特に、病院の門前や、51店舗以上のチェーン経営に多く、それぞれ30%、34%が導入している。

「かかりつけ薬剤師指導料」の算定獲得に積極的だと思うか

積極派の薬剤師でも、患者から同意「難しい」48%

一方、薬剤師個人の姿勢については、「かかりつけ薬剤師」に積極な薬剤師は25%と少数だった。また、積極派の薬剤師であっても、患者から同意をとるのは48%が「難しい」と回答。最も多い理由は「患者側の負担金の増加」だが、「説明が大変」「時間がない」と薬局側の事情を挙げる薬剤師もいた。また、一定人数を超えるとキャパシティの限界から積極的になれなくなるという構造的問題も挙げられた。

厚生労働省が「患者のための薬局ビジョン」で今後重要とした7業務のうち、「服薬指導」「疑義照会」はそれぞれ59%、51%が「自信ある」が、「処方提案」「在宅管理」といった一歩踏み込む業務にはそれぞれ41%、32%が「自信ない」。なお、門前よりも面分業の薬局の方が、また単店・少店舗よりも経営規模が大きい方が、自信ある薬剤師が多い傾向にあった。

今回の結果について、東京理科大学薬学部臨床准教授の水八寿裕氏は「“かかりつけ薬剤師”の責務を考えると、おのずと一人が受け持てる患者数には限界がある。やみくもに指名数を増やせというのではなく、より必要性が高い患者さんを選定することが重要だ。“同意を得ることが難しい”と感じている薬剤師が多いが、その解決策にもなるだろう。医薬品を継続して交付している患者さんをしっかり把握して、適切な患者さんをフォローする体制を組織的に考えて欲しい」とコメントした。

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