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血行状態モニタリング装置「魔法の鏡」を開発、日常的な体調管理が手軽に-東北大

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2016年09月29日 PM01:30

自分自身の体調を、客観的かつ簡単に知ることが目的

東北大学は9月27日、血行状態モニタリング装置「」の開発に成功したと発表した。これは、2013年度科学技術振興機構のセンターオブイノベーション(COI)創出プログラム「さりげないセンシングと日常人間ドックで実現する理想自己と家族の絆が導くモチベーション向上社会創生拠点」の支援を受けて行ったもの。同装置は、10月1日に仙台国際センターで開催される第39回日本高血圧学会「市民公開講座」会場入り口で展示される。


画像はリリースより

少子高齢化に伴う医療費・介護費の増大に対処するためには、病気に至る前の未病対策が重要だが、そのためには家庭や職場において常時健康状態がチェック可能であれば理想的である。この目的で、リストバンド型のウェアラブルセンサなど、身体の状況を常時記録する装置がすでに市販されている。しかしそれらのほとんどは、接触式センサによって心拍数や活動度といった既存の健康関連指標を得るものであるうえ、特別なセンサを常時身に付けることは煩わしく、毎日意識して機器を操作する必要がある健康管理法は習慣化しにくいという問題があった。これに対し、洗面所や脱衣所の鏡は多くの人々がほぼ毎日利用する。特に、洗面所や鏡台の鏡では顔を、風呂場などの脱衣所の鏡では全身をチェックができる。

一方で、自分自身の体調を客観的かつ簡単に知ることは容易ではない。特に、多くの人々が悩んでいる冷え性、、食欲不振などの自律神経に関係する症状は、自覚はできても、客観的に把握することは困難とされている。

人体の皮膚表面の血行状態をリアルタイムにわかりやすく動画像で表示

研究グループはこれまで、脈波信号の計測によく利用される光電脈波計の代わりに、ビデオカメラで撮影した身体映像から、皮下の血液中のヘモグロビンが吸収する緑色信号に基づいて、脈波伝搬時間の推定を行う技術を開発し、これが血圧変動と正の相関をすることを明らかにしている。今回の研究では、この技術に基づいて鏡型ディスプレイを構築した。

まず、身体映像の領域をモザイク状の小領域に分割し、各領域の緑色信号のうち心拍周波数近傍の成分が強いものだけを対象として選択、心拍変動に無相関な運動や周辺光変化による雑音成分をリアルタイムにキャンセルするアルゴリズムを開発した。さらに、映像脈波情報から脈波伝搬時間あるいは血行状態を推定するために、身体の異なる2箇所の領域間の信号の位相差を抽出。各モザイク領域を変遷する2次元的な血行パターンを、顔などの実映像に重畳して表示し、これを見た利用者が、映像の変化と自分自身の体調の変化とを比較できるようになるという。

これにより、洗面所や鏡台などに取り付けた「魔法の鏡」では、毎朝身支度を整えたり化粧をしたりする際に、自分の顔に重畳する血行状態の観察が可能になる。また、風呂場などの脱衣所に取り付けた「魔法の鏡」では、ビデオカメラを利用者の後方に取り付けることで、ふだんは見えない肩や背中の血行状態が観察できるようになる。

今後は、心拍数変動や脈波振幅変動などから得られる自律神経系指標を表示する予定。また、インターネットを介した遠隔からの見守り用体調管理や、自動車内体調監視などへの応用が期待できると、研究グループは述べている。

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