気が合う相手は脳波で同調
独立行政法人理化学研究所は4月22日、2者が言語コミュニケーションしている時の脳波を同時に計測し解析する手法を確立し、発話リズムが同調すると脳波リズムも同調することを発見したと発表した。
この研究は理研脳科学総合研究センター脳リズム情報処理連携ユニットの川崎真弘研究員、神経情報基盤センターの山口陽子センター長らによって進められていたもの。
研究チームは、日常生活で「何となくあの人とはリズムが合う」という感覚が起こるとき、実際の発話や行動のリズムが無意識に合うことが脳活動にどう関るのか、という謎の解明に挑むため、発話リズムと脳波リズムを2者間で同時に計測できる実験手法を確立した。
(画像はイメージ)
コミュニケーション障害の診断やロボット開発に
まず、研究チームは、発話リズムに的を絞った実験として、内容に意味は無いがコミュニケーションを必要とする「交互発話課題」を考案した。
この実験課題は自由なリズムで交互にアルファベットを発声し合うもので、同時にこのときの発話リズムと脳波リズムを測定できる実験手法と、データから意味のあるものを抽出する解析技術も開発した。
日本人の20ペアにこの課題を行ってもらったところ、個々の発話リズムは異なっていても、2人が交互に発話することで互いの発話リズムが同調することを発見した。
また、一定リズムで発話するようプログラムされた機械との間では同調は起きず、ヒトとヒトが課題を行った場合にのみ同調が起きることも分かった。
さらに、このときの脳波を分析したところ、発話リズムの同調度合いによって脳波リズムも同調し、発話リズムが同調するほど脳波リズムの同調も強くなることが分かった。
理化学研究所では、この研究成果を元に、コミュニケーション障害の診断ツールや治療方法への応用が期待できるとしており、さらには個人にとって適した発話リズムを音声リズムに導入することで人と円滑にコミュニケーションが可能になるパートナーとしてのロボットの開発なども期待できとしている。(五十嵐園子)
▼外部リンク
理化学研究所│報道発表資料
http://www.riken.jp