薬価算定組織の清野精彦委員長は、24日の中央社会保険医療協議会総会で、外国平均価格調整ルールを見直す必要性について言及した。
同ルールは、類似薬効比較方式Iおよび原価計算方式のいずれの場合においても、外国価格との乖離が大きい場合に薬価の調整を行うためのもの。具体的には、米、英、独、仏の価格の平均額の1.5倍を上回る場合は引き下げ、外国平均価格の0.75倍を下回る場合には引き上げ(ただし、算定値の2倍を上限)を行うことになっている。
31日に収載予定で、外国平均価格調整の対象となった日本イーライリリーの乾癬治療薬「トルツ皮下注」は、英国の薬価は20万2500円だったのに対し、最初に承認された米国の薬価が58万6001円と高く、外国平均価格が39万4251円に設定された。
これにより、調整前は14万6244円だった薬価が調整後に24万5873円となり、最類似薬のノバルティスファーマの「コセンティクス皮下注」の薬価7万3132円の3倍以上に引き上げられた。
これを受け、清野委員長は、現行の外国平均価格調整ルールを見直すことを提案した。厚生労働省保険局の中山智紀薬剤管理官は、「薬価専門部会で新たなルールを検討し、総会で決める」と応じた。
また、総会では、複数の委員が「同じ作用機序のものであれば、トルツではなく、他の安い薬価の薬剤を使うようにできないか」といった意見が出たことを踏まえ、保険局は留意事項通知を発出し、適正使用の徹底を図る考えを示した。