10%の患者に間質性肺炎、甲状腺機能異常など
日本臨床腫瘍学会(JSMO)は7月13日、免疫チェックポイント阻害薬の「ニボルマブ」(商品名:オプジーボ(R))と「イピリムマブ」(商品名:ヤーボイ(R))について、有効かつ安全に投与できる要件を満たす施設・医師のもとで、適切な投与量・投与方法にて投与を受けるように患者に注意喚起を行った。
現時点での適応症は、イピリムマブが「根治切除不能な悪性黒色腫」、ニボルマブが「根治切除不能な悪性黒色腫」と「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」。
適応症は、効果と安全性に関するデータから国が適正であると判断しているものだが、免疫チェックポイント阻害薬は、新しい機序に基づく抗がん剤であるために数多くのがん、白血病、悪性リンパ腫について、その効果と安全性が研究されている段階。対象となる疾患によっては効果がないことや、重篤な副作用が出現する場合もある。特に、間質性肺炎、甲状腺機能異常、劇症I型糖尿病、自己免疫性腸炎、重症筋無力症などが約10%の患者に見られ、死亡例の報告もある。そのため、施設要件(投与を受けても安全である施設)、医師要件(処方をされても安心できる医師)を厳格に定めて、国内の薬剤供給が行われている。
添付文書と異なる用法・用量で適応症以外の疾患への投与事例散見
しかし、施設要件、医師要件を満たさない施設・医師が、国内販売企業を通さず、海外から個人的に輸入した免疫チェックポイント阻害薬を添付文書とは異なる用法・用量で適応症以外の疾患に投与する事例が散見され、副作用に適切に対処できないなど、大きな問題となっているという。
この投与に際しては、添付文書で「緊急時に十分対応できる医療機関において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで投与すること」とされている。また、適応症以外の疾患に対する投与は原則として治験や臨床研究として行われる場合に限られるべきで、倫理審査委員会などによる第三者からの投与の適切性の評価が必須となっている。
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