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ALS治療薬「エダラボン」、米で申請-田辺三菱

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2016年06月22日 AM11:30

米国で毎年5,600人以上発病

田辺三菱製薬株式会社は6月20日、)における機能障害の進行を抑制する「」(日本製品名:「(R)点滴静注バッグ30mg」)を、米国FDAへ承認申請したと発表した。


画像はリリースより

ALSは、運動神経が選択的に変性・脱落する進行性の神経変性疾患。症状は、筋萎縮と筋力低下が主体で、初期の症状は、線維束性収縮、痙縮、こわばり、手足の筋力低下、鼻声、飲み込み難さなどがある。病状が進行すると上肢の機能障害、歩行障害、構音障害、嚥下障害、呼吸障害などを生じる。症状の進行は比較的急速だが、個人差が大きいとも言われている。人種や民族的背景、職業や生活環境とは関係なく発症し、ALS患者の90~95%は遺伝による発症ではないとされる。発病率は10万人に2人、米国での患者数は3万人程度で、毎年5600人以上が発病している。

発症には、さまざまな原因が考えられており、遺伝子異常、酸化ストレスやグルタミン酸過剰による神経障害といった原因説が提唱されている。遺伝子研究をはじめとする基礎研究、そして治療薬の開発が目覚ましい進展を見せているが、現在、ALSの治療薬は世界で1種類しかなく、新しいタイプのALS治療薬が望まれていた。

約20年ぶりの新規ALS治療薬に

エダラボンは、田辺三菱製薬が創製したフリーラジカル消去剤であり、脳梗塞急性期の治療薬として、2001年4月に厚生労働省から承認され、日本ではラジカットの製品名で販売されている。脳虚血に伴い発生するフリーラジカルを消去し、脂質過酸化反応を抑制し、虚血領域、あるいはその周囲の神経細胞を保護する作用を有することから、ALSの病態で上昇するフリーラジカルを消去して運動ニューロンを酸フリーラジカル消去剤化ストレスから保護し、筋萎縮の進行を遅らせる効果を有すると考えられている。

同社は日本で臨床試験を実施し、2015年6月に「ALSにおける機能障害の進行抑制」についての治療薬として日本で承認され、日本で約1,500人のALS患者の治療に貢献してきた。

米国FDAへの承認申請は、日本で行った臨床試験のデータを基にしており、承認された場合、Mitsubishi Tanabe Pharma Holdings Americ, incの100%子会社であるMT ファーマ アメリカが米国にて販売をする予定。約20年ぶりの新しいALS治療薬となる。

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