治療歴のない非小細胞肺がん患者に対して
Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.は6月4日、2016年ASCO年次総会で、治療歴のない非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する同社の抗PD-1抗体「KEYTRUDA(R)」(一般名:ペムブロリズマブ)と、化学療法などの標準治療の併用に関する開発コンセプトを実証する早期研究(POC)の結果を発表した。
KEYTRUDAは、免疫系ががん細胞を見つけて攻撃するのを助けるヒト化モノクローナル抗体。米国と欧州では進行性悪性黒色腫の適応で承認されており、米国では非小細胞肺がんに対しても承認を取得した。
日本では2015年12月22日に、切除不能または転移性の悪性黒色腫を効能・効果として、2016年2月29日には、切除不能な進行または再発の非小細胞肺がんを効能・効果として抗PD-1抗体「ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)」の承認申請を行っていた。現在、膀胱がん、肺がん、乳がん、胃がん、頭頸部がん、多発性骨髄腫、食道がん、大腸がん、ホジキンリンパ腫、進行性固形がん、卵巣がんを対象とした臨床試験が進行中。2015年10月27日には、治癒切除不能な進行・再発の胃がんに対する効能・効果について、厚生労働省から「先駆け審査指定制度」施行後初めての対象品目のひとつに指定された。
併用により奏効率48~71%達成
ASCOで発表された結果は、第1b相試験においてKEYTRUDAおよび3つの化学療法レジメンのうちのひとつによる治療を受けた74人の患者のデータに基づくもの。同剤と化学療法を併用した場合などを評価したところ、投与した併用治療薬によって48~71%の奏効率(ORR)が認められたとしている。
この結果に基づき、同社は、治療歴のないNSCLC患者に対する2つの第3相試験を開始。KEYNOTE-189試験では、NSCLC患者に対するKEYTRUDAとプラチナ製剤/ペメトレキセドによる化学療法レジメンを評価し、KEYNOTE-407試験は、扁平上皮NSCLC患者に対するKEYTRUDAとカルボプラチンおよびパクリタキセルまたはnab-パクリタキセルの併用を評価するとしている。
同社は、肺がんを対象とするKEYTRUDA臨床開発プログラムを強力に推進しており、現在、同剤の承認取得に向け5件の試験が進行中。世界では30種類を超えるがん種に対する開発と270以上の臨床試験が進行している。これには、同剤と他のがん治療薬との併用療法を検討する100を超える臨床試験も含まれている。
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