最新技術による抗体医薬品の製造設備を2年以内に稼働
三菱ガス化学株式会社と日本化薬株式会社は6月8日、バイオ後続品を含む抗体医薬品の国内製造を行う合弁会社を設立したと発表した。新会社の社名は「株式会社カルティベクス」。出資比率は三菱ガス化学が55%、日本化薬が45%。この新会社では、最新技術による抗体医薬品の製造設備を2年以内に稼働させることを目指すという。
現在、国内外の医薬品市場において、抗体医薬品を中心とするバイオ医薬品が大きく伸長している。抗体医薬品は従来の低分子医薬品に比べて有効性と安全性に優れる点が多く、使用機会が増加傾向にある。一方で、製造や開発に多大なコストがかかるため高額となり、患者個人および医療保険への負担が課題となっている。
さらに、日本はバイオ医薬品の多くを輸入に頼っており、その額は年間5000億円超とも推計されている。高品質なバイオ医薬品を国内で製造し、安定供給体制を整備することは大きな課題である。また近年、特許満了を迎えたバイオ医薬品の後続品が欧米を中心に開発され、その一部は国内でもすでに承認・販売されている。これらはジェネリック医薬品と同様に価格を抑えたものとなっており、今後一層の普及が期待されている。
日本におけるバイオ後続品の普及を推進
三菱ガス化学は、従来から保有する培養技術を土台に、台湾GlycoNex社からの技術移管を通じて抗体医薬品の製造基盤における技術を確立。2014年にはMGCファーマ株式会社の設立により、抗体医薬品の製造プロセス開発を中心とした開発受託事業に参入し、事業の展開を進めている。
また日本化薬は、韓国Celltrion社と提携して抗体バイオ医薬品の日本で最初のバイオ後続品であるインフリキシマブBS「NK」を開発し、2014年11月から販売。これに続いて、2015年からはトラスツズマブのバイオ後続品の開発を進めている。
両社は今回、それぞれの知識と経験を融合させた新会社を設立し、バイオ後続品を含む抗体医薬品の製造および企画開発・受託事業を本格的に展開。生産の強化および製造技術の蓄積と進展を目指すとともに、日本におけるバイオ後続品の普及に努めたいとしている。
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