厚労省制定の「条件及び期限付き承認」初適用
テルモ株式会社は5月30日、世界初の心不全治療用の再生医療等製品「ハートシート」の販売を開始したと発表した。これは、厚生労働省が再生医療の実用化を促進するために制定した「条件及び期限付き承認」という早期承認制度が適用になった初めての製品。
画像はリリースより
ハートシートは、患者の大腿部から採取した筋肉組織に含まれる骨格筋芽細胞を培養してシート状に調製し、患者の心臓表面に移植する製品で、虚血性心疾患による重症心不全の治療を目的としている。患者の細胞を採取するためのAキットと、培養した骨格筋芽細胞と細胞をシート化するためのBキットによって構成されており、この度、保険診療1例目の患者の細胞採取のため、Aキットを医療機関に向けて販売した。
年間20~30例見込む
同製品は、NEDOのプロジェクトで大阪大学大学院医学系研究科心臓血管外科の澤芳樹教授が開発を進め、臨床研究が実施されてきた。テルモは、大阪大学との共同研究を進め、先端医療開発特区「スーパー特区」の「細胞シートによる再生医療実現プロジェクト」に参加したという。
同製品の対象となるのは、「NYHA心機能分類がIII又はIV度」「安静時における左室駆出率が35%以下」の基準のすべてを満たす、薬物治療や侵襲的治療を含む標準治療で効果不十分な虚血性心疾患による重症心不全の治療。
植込型補助人工心臓(非拍動流型)の実施施設として届出のある施設であることや、医薬品医療機器法に基づく薬局等構造設備規則又は再生医療等の安全性の確保等に関する法律(平成25年法律第85号)に基づく細胞培養加工施設の構造設備に関する基準に則った細胞培養センターを有することなど、診療報酬上の取り扱い施設基準も設けられている。
同社は、今後年間20~30例の治療での使用を見込んでいる。
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・テルモ株式会社 プレスリリース