厚労省による110日間の業務停止処分期間が終了
化学及血清療法研究所(化血研)は5月6日、今後の運営体制等についての発表を行った。これは、化血研が製造する血漿分画製剤について、承認書と異なる製造方法で製造していたことで厚生労働省から受けた110日間の業務停止処分が同日をもって終了するのに伴い、今後の方針を表明したものである。
発表の内容は全部で3つ。まずは業務停止処分中に発生した「熊本地震に対する対応について」。熊本に位置する同所は、4月の大地震により県内の製造・配送拠点が甚大な被害を受け、操業が停止している状態だ。それを受け、生産・供給体制の復旧を最優先に、製品の安定供給の確保に努め、熊本県の復旧・復興に地元企業として尽心・尽力していくと表明。今後は、地震による被害の詳細調査を行った上で、6月上旬を目途に震災復旧プログラムを策定する予定。その後の復旧状況についても適宜公表していくという。
ガバナンス体制・品質保証体制の改革が可能」等条件を満たす製薬会社と事業の譲渡を交渉中
2つ目は「事業の譲渡について」。化血研は、今回の問題を受けて厚労省から組織の抜本的な見直しを求められていたため、人体用ワクチン事業及び血漿分画製剤事業について、製薬会社への譲渡を検討。現在、「ガバナンス体制・品質保証体制の改革が可能であること」、「雇用が確保されること」「熊本所在企業として研究開発体制を維持・発展し、将来の国際展開力の強化を図ることができること」等の条件を満たす製薬会社との間で交渉を行っているとし、震災復旧プログラムの策定及び復旧状況を踏まえながら、早期の合意を目指すとしている。
最後は「組織改革について」。信頼性保証・品質保証体制については、安全な医薬品の製造のために、「第三者機関を利用した再発防止策の策定及び定期的モニタリングの実施」、「品質保証担当者を製造と品質検査の現場に常駐させるサイトQAの設置」、「抜き打ち監査の実施」等の抜本的な見直し・再構築を進めているという。
また、現理事は6月下旬をもって全員退任し、新体制の下での組織改革を推進。第三者委員会の提言を踏まえ、評議員会の監視機能の強化等の評議員改革も行っていくという。さらに、新体制においては、震災からの早期復旧及び事業譲渡の実現のために必要な体制も整備するとしている。その他必要な改革については、厚生労働省、農林水産省、内閣府、熊本県等地方公共団体の指導を踏まえ、医薬品企業としてふさわしい体制づくりを進めていきたいと述べている。
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・化学及血清療法研究所 プレスリリース