解熱作用だけじゃない。アスピリンの実力
アスピリンというと、解熱剤という解釈をしている人が多いのではないでしょうか。実は、アスピリンをはじめとする、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、様々な病気の予防や治療に用いられています。血液がさらさらになる作用を利用して、血栓の予防などに使われてきました。
新発見、閉経後の女性のメラノーマ予防にも効果的
50歳から79歳の、閉経後の女性を対象に調査を行ったところ、アスピリンの内服は、皮膚がんの一種であるメラノーマの予防にも役立つことが明らかになったのです。
6万人近い女性を追跡したところ、調査開始から12年で、メラノーマにかかっていた人が約1%いました。
リスクは21%ダウン。
このうち、何らかの事情でアスピリンを飲んでいた女性では、飲んでいなかった女性よりもメラノーマの発症リスクが21%低いことが分かったのです。そして、その度合いはアスピリンを飲んでいた期間が長いほど強まる傾向にありました。
このようにして、閉経後の女性ではメラノーマの予防のためにアスピリンを内服することが有効だと分かりました。一方では、アスピリンの内服で、アメリカでは失明の原因のトップとも言われる加齢黄斑変性リスクが上昇するという報告もあります。
アスピリンのように様々な病気や予防に用いられる薬を飲んでいる場合は、どういった目的で処方されているかをきちんと把握することが、思いがけない効果や副作用を早期発見できる鍵になりそうです。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Aspirin is associated with lower melanoma risk among postmenopausal Caucasian women
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/