COPD患者の気管支収縮に対する維持療法剤として
大日本住友製薬株式会社は4月28日、同社米子会社のサノビオン・ファーマシューティカルズ・インク(サノビオン社)が、米国において開発を進めている開発コード「SUN-101」(一般名:グリコピロニウム臭化物)について、2つの第3相臨床試験(GOLDEN-3、GOLDEN-4)で良好な結果を得たと発表した。
同試験では、中等症から重症の慢性閉塞性肺疾患(COPD)を対象に、電子振動膜型ネブライザーシステム「eFlow(R)」を用いて投与される長時間作用性ムスカリン受容体拮抗薬(LAMA)である同剤の有効性および安全性を評価。その結果、同剤25μg投与群および同剤50μg投与群ともに、主要評価項目である12週間後の努力呼気1秒量(FEV1)のトラフ値のベースラインからの変化量で、プラセボに対して統計学的に有意な改善を示したとしている。また、COPD患者の気管支収縮に対する維持療法剤として、1日2回投与の同剤の良好な忍容性が示されたという。
SUN-101は、画期的なネブライザーシステムであるeFlowを用いて投与される、グリコピロニウム臭化物を有効成分とするLAMAの気管支拡張剤。同剤は、現在、中等症から重症のCOPD患者を対象にネブライザー療法として、開発が進められている。
eFlowは、ドイツのPARI Pharma GmbHが開発したネブライザーシステムで、中等症から重症のCOPDの治療のために現在開発されている独自の薬剤送達デバイス。エアロゾルを発生させる携帯型の電子振動膜型ネブライザーシステムで、標準的な噴射式ネブライザーでは通常10分かかる薬剤の送達が、同システムでは2~3分でできるように設計されている。
GOLDEN-3では653名、GOLDEN-4では641名のCOPD患者が登録
「GOLDEN(Glycopyrrolate for Obstructive Lung Disease via Electronic Nebulizer)-3」「GOLDEN-4」は、中等症から重症の成人のCOPD患者を対象に有効性および安全性を検討した12週間の多施設共同、ランダム化、プラセボ対照二重盲検比較第3相臨床試験。40 歳以上のCOPD患者を対象に、GOLDEN-3では45施設において653名、GOLDEN-4では49施設において641名が登録され、プラセボ、同剤25μg、同剤50μgを1日2回投与した。
主要評価項目は、12週間後におけるFEV1のトラフ値のベースラインからの変化量であり、副次的評価項目は、12週間後におけるFEV1曲線下面積(AUC)のベースラインからの変化量、努力肺活量(FVC)のトラフ値のベースラインからの変化量、SGRQスコア(St. George’s Respiratory Questionnaire)のベースラインからの変化量およびレスキュー薬の使用回数の変化等。安全性としては、有害事象、重篤な有害事象、主要心血管イベントの発現症例数、有害事象による中止症例数および中止割合によって評価された。
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・大日本住友製薬株式会社 ニュースリリース