大日本住友製薬・小野薬品工業・田辺三菱製薬・杏林製薬の支援で
京都大学大学院医学研究科は4月28日、大日本住友製薬株式会社、小野薬品工業株式会社、田辺三菱製薬株式会社、杏林製薬株式会社の4社の支援を受け、ポストゲノム時代の創薬を産学両方で担う人材の養成を目的とした寄附講座「創薬医学講座」を設立したと発表した。期間は2021年3月まで。期間終了後は3年ごとに延長を協議する。
画像はリリースより
独創的新規医薬品の創出は、大学医学部と最先端の製薬技術を有する製薬企業との密接な連携によって達成されるものであり、京都大学医学研究科は、この点に着目してメディカルイノベーションセンターを設立し、大型産学連携プロジェクトを展開してきたという。
この展開を将来にわたって発展させるためには、ポストゲノム時代の創薬手法を抽出するとともに、最新の医学と創薬技術を用い、アカデミアと製薬企業の双方で今後の創薬を担う人材を養成することが必要としている。今回設立された創薬医学講座は、この目的の達成が使命であり、医学研究科の中で、医学の系統的教育を行う産学連携での創薬人材育成は、日本国内では初めての試みという。
医学部以外の学部出身者も対象
この創薬医学講座では、大型産学連携創薬プロジェクトに従事している教員がその活動と経験を活かし、医学の進歩に密着した創薬手法の抽出を図るとともに、支援企業と連携して将来創薬の現場でこれらの手法を駆使して働く人材を養成するという。
研究は、「ヒトでの情報をいかに実験系におとし込むか」「モデル動物での所見のヒトでの有用性を前臨床段階でいかに検証するか」という双方向性の創薬手法の探求を中心とする。また、教育は、「基礎医学知識の系統的な理解と実験手技の修得」「最新創薬に必要な医学関連領域のリテラシー修得」「ヒトの各疾患を対象とした病理・病態から医薬品開発までの演習」「iPS創薬を含む製薬技術から始まり、バイオバンク、ビッグデータ、バイオマーカー、治験、知財、薬事行政、ビジネスモデルまでに至る創薬基盤教育」の、4つのレイヤーで行うという。
対象は、製薬会社で創薬の中心を担う医学部以外の学部出身者、既に製薬会社で創薬の経験を積んでいる研究者、医師・医学部出身者など。医学部以外の学部出身者は、修士課程から小グループでの講義・実習を通して解剖学・生理学・病理学を中心とする基礎医学の系統的理解から始める。また、製薬会社研究者、医師・医学部卒業生は、これまでの経験から今後必要と思われるレイヤーからの教育を受ける。さらに、メディカルイノベーションセンターでの産学連携プロジェクトやその他の産学共同研究プロジェクトでの創薬研究に参加、実践するとしている。
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・京都大学大学院医学研究科 プレスリリース