新たな治療法の開発が望まれている「リンパ浮腫」
アンジェス MG株式会社は4月15日、国内で2013年10月から実施している、原発性リンパ浮腫を対象としたHGF(肝細胞増殖因子)遺伝子治療薬の第1/2相臨床試験について、症例登録を完了したと発表した。
リンパ浮腫は、リンパ系障害によって組織液がリンパ管に戻れず皮下に貯留し、四肢に 高度の浮腫を来たす難治性の疾患。原因不明の「原発性(一次性)リンパ浮腫」と、がん手術に伴うリンパ節切除などが原因で発症する「続発性(二次性)リンパ浮腫」がある。
発症後は慢性的に進行・増悪し、患者のQOLを著しく低下させるが、現在有効な治療法が存在していないため、新たな治療法の開発が望まれている。
リンパ管新生作用によるリンパ浮腫の治療は、世界初の試み
今回の臨床試験は、約20例の原発性リンパ浮腫患者を対象として、HGF遺伝子治療薬の安全性と有効性を探索的に検討するための試験。リンパ浮腫によって腫脹した被験者の脚部にHGF遺伝子治療薬を投与し、その後1年間にわたり浮腫の体積変化やQOL等を経時的に評価するという。
同社の主要開発品であるHGF遺伝子治療薬は、さまざまな組織や臓器の再生において重要な 役割をもつHGFを産生させる遺伝子を用いた治療薬。HGF遺伝子治療薬は、血管新生作用による末梢性血管疾患を対象とした開発が先行しているが、リンパ管の新生作用も持つことが非臨床試験結果からわかっているという。
リンパ管新生作用によるリンパ浮腫の治療は、今回の臨床試験が世界で初めての試み。今後、HGF遺伝子治療薬が標準治療法になることが期待されている。
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・アンジェス MG株式会社 ニュースリリース