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肥満が脂肪組織の慢性炎症とインスリン抵抗性を促進-徳島大

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2016年03月31日 PM12:45

DNA断片貪食するマクロファージ確認

徳島大学は3月26日、肥大した脂肪細胞から放出されるDNA断片がマクロファージを活性化することで脂肪組織の炎症を引き起こし、インスリン抵抗性を発症させることを見出したと発表した。この研究は、同大学大学院医歯薬学研究部循環器内科学分野の佐田政隆教授、福田大受特任講師らの研究グループと東京大学、、大阪薬科大学との共同研究によるもの。研究成果は、「Science Advances」に3月25日付けで掲載された。


画像はリリースより

研究グループは、肥満個体は痩せた個体に比べて、脂肪細胞の変性に関連した血液中の遊離DNA断片の濃度が多いことと、血液中の遊離DNA断片の量がインスリン抵抗性の指標と相関することを、ヒトとマウスの両方で見出した。

これをきっかけに変性脂肪細胞から遊離するDNA断片が、本来は細菌由来のDNA断片を認識するToll様受容体9(TLR9)によって認識され、免疫担当細胞のひとつであるマクロファージを活性化。実際に、肥満マウスの脂肪組織内では、DNA断片を貪食しているマクロファージを電子顕微鏡で捉えることができたという。

炎症惹起メカニズム、生活習慣病との共通性を検証

TLR9を欠損したマウスでは、野生型マウスと同様の肥満を誘導しても、脂肪組織における炎症が軽度であり、インスリン感受性が保たれていた。また、骨髄移植により作出した骨髄由来細胞にのみTLR9を発現するマウスでは、脂肪組織の炎症とインスリン抵抗性が高度であることも判明。マウスへのTLR9阻害薬の投与により、肥満に伴う脂肪組織の炎症とインスリン抵抗性の発症を抑えることができたとしている。

これらの結果は、肥満によって変性した脂肪細胞から遊離するDNA断片が、TLR9を介してマクロファージを活性化することで脂肪組織の慢性炎症を引き起こすことを示唆しており、新たな治療戦略の開発につながることが考えられる。糖尿病以外に、動脈硬化など他の生活習慣病で、局所臓器の細胞死を含めた細胞障害とそれに引き続く慢性炎症の存在は明らかになっており、今後は、遊離DNA断片を介した炎症惹起メカニズムが他の生活習慣病のメカニズムとして共通であるか検証する、と研究グループは述べている。

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