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中年女性の急性心筋梗塞症患者における特発性冠動脈乖離の特徴と長期予後を解明-国循

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2016年03月16日 PM03:30

全国の急性心筋梗塞症患者20,195人を解析

国立循環器病研究センターは3月15日、同センター心臓血管内科部門の中島啓裕専門修練医、野口暉夫部長、安田聡副院長ら研究チームが、中年女性の急性心筋梗塞症患者における特発性冠動脈解離(spontaneous coronary artery dissection:)の臨床的特徴および長期予後を解明したと発表した。


画像はリリースより

動脈硬化を原因とする急性心筋梗塞症は、男性は平均65歳で発症するのに対して、女性は75歳とより高齢で発症しやすいことが知られているが、SCADは40~50歳台の女性に多く見られることが特徴。SCADでは動脈硬化性変化が少ないにもかかわらず、冠動脈の中膜が裂けて血流が途絶することで急性心筋梗塞を発症する稀な疾患で、現在確立した治療方法はない。日本国内では報告数が少ないために、急性心筋梗塞症全体における発生頻度や罹患後の余命を含めた予後など、明らかにされていない点が多いのが現状だ。

今回の研究では、同施設を含む全国20施設の2000年から2013年までにおける急性心筋梗塞症患者20,195人を解析。このうちSCADが原因の患者は全体の63例だったが、50歳以下女性130例に限ると原因の第2位がSCADで35%(45例)を占めることが明らかになったという。

健康な中年女性が突然発症する可能性大、治療法の早期確立に期待

SCAD平均発症年齢は46±10歳で患者の94%(59例)が比較的健康な女性であり、最大の誘因は精神的なストレス(29%)だった。50歳以下女性の非動脈硬化性SCADと動脈硬化性急性心筋梗塞の長期心血管事故(心臓病の死亡、心筋梗塞の再発、緊急血行再建術)を比較したところ、3年後の心血管事故発生率はSCADの方が約7倍も高く、その多くが冠動脈の再解離であることがわかったという。

同研究から、50歳以下女性の急性心筋梗塞症の原因の相当な割合を占めるSCADは、健康状態に問題が少なくても発症し、また発症後の心血管事故発生率が非常に高まることが明らかとなった。今後は、早期診断と注意深い経過観察、さらに最善の治療法の確立が求められていくと研究グループは述べている。

なお、同研究成果は、英心疾患専門誌「International Journal of Cardiology」に3月14日付けで掲載されている。

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